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コラム

雪は降らなかったけど、JR東日本が間引き運転を決めた理由杉山淳一の時事日想(3/6 ページ)

2月6日、首都圏の朝のラッシュアワーは大混乱となった。前日からの「大雪・積雪予報」を受けて、JR東日本が通勤電車の間引き運転を実施したからだ。しかし、この処置は適切だったのか。コンピュータに頼りすぎた結果かもしれない。

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間引き運転を決めた理由

 JR東日本の減便の背景は、同年1月14日の大雪による大混乱があった。気象庁は雪と予報したが「積雪の心配はない」とコメント。しかし、実際には都心でも15センチメートルから20センチメートルの積雪となり、道路や鉄道が混乱した。鉄道各線は遅れ、一部の路線は夕方まで運休となった。休日だったため通勤の混乱はなかったが、成人式などに影響があった。

 これと同じ轍を踏みたくない。それがJR東日本の意志だろう。前回と同程度の積雪、しかも今回は通勤ラッシュと同時間帯。限界まで列車を詰め込んだ路線ばかりである。雪で列車が立ち往生すれば、駅間で身動きできない列車も増える。外に出られず、すし詰めの列車に閉じ込められた乗客には生命の危険さえ及ぶ。混乱は必至だ。すべては安全のため。お客さまの命を守るために列車を減らす。

 「安全」という伝家の宝刀をかざされたら、誰も文句は言えない。しかしJR東日本は、その伝家の宝刀を振り上げるタイミングを間違えた。気象庁の予報修正は5時に対し、JR東日本の通勤路線は4時台に始発が出る。5時の発表では遅かったかもしれないが、いったん決定した間引き運転をなぜ撤回できなかったのか。その理由は、JR東日本のダイヤ作成システム、運行管理システムの脆弱性にあると私は見ている。


鉄道は本来、雪に強い。積雪でレールが見えなくても快走する頼もしさがある。北海道・釧網本線にて

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