公的補助の悪用例、医療従事者の半数が経験
困っている人にとっては助かる医療費の補助。しかし、中にはその制度を悪用する人もいるが、現場の医療従事者は、公的補助の悪用をどのくらい見聞きしているのだろうか。QLife調べ。
社会福祉を充実させる上で、医療費の公的補助は欠かせない。しかし残念ながら、その制度を悪用する人も少なくない。現場の医療従事者は、公的補助の悪用をどのくらい見聞きしているのだろうか。
QLifeの調査によると、医療従事者に「生活保護受給者による不適切な医療機関や医療資源の利用を見たことがありますか」と尋ねたところ、「ある」(46.6%)と「ない」(53.4%)が拮抗(きっこう)した。
具体例を聞くと、「糖尿病のインスリン患者が、食費が無くなると、わざとインスリンを打たずに高血糖になり救急外来を受診し入院して、食費を浮かす」「数週分の処方を出したのに、数日ごとに薬をもらいにくる。特に湿布。そして他の医療機関でも同様に受診している」「夜間に寂しくなり詐病で救急車を利用し、病院で個室に入れろと叫び無理やり入院しようとする」などの声があった。
子どもの医療費を無料にするという動きも各自治体で進んでいるが、それを悪用する向きもある。「子どもの医療費補助による不適切な医療機関や医療資源の利用を見たことがありますか」と尋ねると、「ある」は17.2%と、生活保護受給者ほどではないが、少なからずの人が見聞きしたことがあるようだ。
具体例では、「必要以上の受診。ドクターショッピングをする。 子どものカルテで親の薬を出してほしいと言う。 無料期間が終わる直前に、必要のない検査や薬の長期投与を要求する」「どうみても母のでしょ? と思われる、ローションや保湿クリームが大量に処方されている」などがあった。
インターネットによる調査で、対象は医療従事者744人(医師182人、看護師370人、薬剤師192人)。調査期間は2012年12月23日から2013年1月11日。
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