体罰事件から企業が学ぶべきこと(2/2 ページ)
大阪の桜宮高校バスケットボール部や女子柔道など、体罰問題が世間をにぎわせている。企業は体罰問題から、どんな教訓を得ればいいのだろうか。
管理職は、自分の言動や見え方をコントロールするのも大切です。上司は常に部下から観察されています。誰に対してどう振る舞っているか、どの仕事にどのように取り組んでいるか、などから、部下は上司の姿勢や心理を見抜きます。モチベーションが下がっているのも、焦ったり動揺したりしているのも、容易に分かってしまいます。これが、組織の士気や部下の仕事ぶりに影響するのです。
だから上司は常に部下の視線を意識し、その時々の状況に相応しい言動をとらねばなりません。いつも悠々としている、常に活き活きと情熱的である、そんなポジティブな姿をキープする必要があります。
勉強熱心であることも、指導者に求められる態度です。人を動かして結果を出す役割なのですから、人はどのように物事を認識するのか、人が動機付けられるメカニズムはどうなっているのか、人の発達や成長は何に影響されるか、といった知見は重要です。直接的に部下に教える内容ではなくても、政治・経済・社会の動き、歴史や文化に関する知識、趣味などに取り組む姿勢なども、部下とのコミュニケーションににじみ出るはずです。日ごろ、ゲームや漫画やギャンブルに興じているだけの人が、優れた管理職になるとは思えません。
他にも色々とあると思いますが、いずれにしても、昇進してから実務的なスキルを学んだだけで、あとはそれぞれのスタイルで部下を指導しているような状況は、問題になったスポーツの指導と何も変わりません。もっと丁寧に、かつ時間をかけて上のような社会人・組織人としての基礎を学ぶ機会を設け、プロの指導者をしっかり育てていく必要があるというのが、今回の一連の事件から企業が学ぶべきことではないでしょうか。(川口雅裕)
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