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邦高洋低化するエンタメ業界アニメビジネスの今(1/3 ページ)

ビートルズやハリウッド映画が社会を席巻したのも今や昔。エンタメ業界の売り上げを見ると、アニメを代表として多くの分野で日本作品のシェアが高くなっているのだ。

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アニメビジネスの今

今や老若男女を問わず、愛されるようになったアニメーション。「日本のアニメーションは世界にも受け入れられている」と言われることもあるが、ビジネスとして健全な成功を収められている作品は決して多くない。この連載では現在のアニメビジネスについてデータをもとに分析し、持続可能なあるべき姿を探っていく。


 グローバル化社会と言われている現代だが、実は文化面では邦高洋低が進んでいる事実をご存じだろうか。テレビゲームを始めとして、音楽、映画、そして特にアニメにおいて著しい。ということで、今回は日本文化の邦高洋低化について述べてみたい。

ハリウッドを打ち破った映画界

 ハリウッド映画のイメージから、映画界では洋高邦低の印象を持っている人も少なくないだろう。しかし、2012年の興行収入を見ると、邦画のシェアが65.7%と洋画の34.3%を大きく上回った。

 洋画と邦画の関係を振り返ると、次図のように1960年までは圧倒的に邦画が強かった。その後、映画産業の凋落とともに大作を中心とした洋画の比率が高くなり、1970年代以降は半分以上を占めるようになり、特にシネコンが増加しはじめた1990年代から顕著になった。そして、CGを駆使したハリウッド大作映画が押し寄せた2000年代前後には、そのシェアは70%を超えるまでになった。


興行収入における邦画と洋画のシェア(映画製作社連盟発表データより。年間の対象期間は前年度12月から当年11月まで)

 2002年には『ハリー・ポッターと賢者の石』(興行収入203億円)、『モンスターズ・インク』(同93億7000万円)、『スターウォーズエピソード2 クローンの逆襲』(同93億5000万円)、『ロード・オブ・ザ・リング』(同90億7000万円)、『スパイダーマン』(同75億円)などハリウッドのファンタジー系超大作映画が怒涛のごとく押し寄せ、邦画のシェアは27.1%と過去最低にまで追いつめられる。

 「日本の映画は一体どうなるのか」と思わせる展開であったが、翌年からシェアが回復し始め、2012年には65.7%と1950年代後半の映画全盛期に迫る勢いとなった。そして、この躍進には劇場アニメが大きく貢献しているのだ。

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