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コラム

アベノミクスが抱える不安要素とは藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

金融政策と財政政策を組み合わせて、日本経済を回復させようというアベノミクス。しかし、その行く先にはさまざまな懸念点がある。

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 もう1つの金利上昇要因は、財政である。現在予定されている消費税では、残念なことに政府が国際的に公約している2020年にプライマリーバランスで黒字にするという目標には到底届かない。しかも、安倍政権は実質100兆円を超えるような超大型予算を組んだ(2012年度補正と2013年度当初予算)。

 ここまでふくらませてしまうと、2013年度にもまた補正を組まざるをえないだろう。1つには地方がそれを要求するからだ。それに応えなければ、2013年度のGDPに悪影響が出るから、補正を組むという圧力は高くなる。もう1つは円安によって企業収益が回復し、法人税などが増収になると、その分は使っても大丈夫というような財政規律の緩みが出るからだ。

 そうやって100兆円予算が続けば、財政規律はどこかに行ってしまう。それがいつまで許されるのか、市場が(投資家が)いつノーを突きつけるのか、大げさに言えば誰にも分からない。そして分かった時にはもう遅い。それこそ、円安、債券安、株安のトリプル安に襲われる可能性がある。

 そういう形に落ち込まないように、安倍政権は細心の注意を払いつつ、金融緩和と財政再建のバランスを取っていく必要があると思う。しかしアベノミクスが少なくとも表面上成功していくと、いつの間にか、根本的な問題を忘れがちになる。そうなった時に、積極リフレ派である黒田新日銀総裁が、果たして安倍政権にブレーキをかけることができるのかどうか。どちらに賭けるかと言われれば、ブレーキをかけられないという方に賭けたいような気がする。

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