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コラム

「社会主義が最も成功したのは、日本」と皮肉られているワケ窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

厚生労働省の調査によると、約9割の人が「終身雇用に賛成」しているという。日本人にフィットしている「終身雇用」は、どこの国のモデルを参考にしたのか。意外にも……。

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窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 日本銀行が金融政策決定会合を行い、“異次元”の金融緩和策を発表した。やるだけやった。後は企業ががんばれよみたいなムードのなか、成長戦略の柱である「成長産業への労働力移動」として「クビの規制緩和」議論が活発化している。

 その端緒になったのは、3月15日の「産業競争力会議」で、民間議員の長谷川閑史(はせがわ・やすちか)・武田薬品工業社長が解雇を原則自由にするよう労働契約法を改正することや、再就職支援金を支払うことで解雇できるルールづくりなどを提案したことだった。

 会社を見渡すと、「正社員」という座にあぐらをかいて、定年までの十数年をどうにかやりすごすというオッサンがゴロゴロいる。そういう人たちの人生まで面倒をみるのが会社のつとめだったわけだが、世界と競争するうえで、かなりハンデとなっている。

 50歳といっても高齢化社会ではまだまだハナタレ小僧なわけだから、景気のいい産業へ移ってやりなおしたらどうでしょう、お金も差し上げますし、と会社から勧められるようにしようというわけだ。

 といっても、これはなにも長谷川氏が思いついたことではなく、もうずいぶん前から言われていることだ。例えば、金の支払いで解雇を可能とする「金銭解決ルール」などは、2003年の小泉政権が法案化寸前までもっていったが、断念した過去がある。

 なぜ断念したか。容易に想像がつくだろうが、「札束でクビができるなんてけしからん」と連合(日本労働組合総連合会)なんかがワーワー騒いだからだ。当然、今回もそういう流れになっている。


「正社員」という座にあぐらをかき、定年までの時間をどうにかやりすごうという人がたくさんいる(写真と本文は関係ありません)
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