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コラム

札幌市電「400メートルの延伸」がもたらす大きなメリット杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)

国土交通省北海道運輸局は札幌市から申請された路面電車延伸計画を認可した。西4丁目とすすきの電停を結ぶ400メートルを整備し、中間に停留所をひとつ新設する。短い延伸だが意味は大きい。これで札幌市電が環状線となるからだ。

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山手線など既設路線で効果を出す環状線型

 ほとんどの鉄道路線は、起点駅と離れた場所の終点駅を結ぶ。遠くへ人やモノを運ぶから当然の姿だ。列車は端の駅に着くと前後を逆にして折り返す。一方、山手線や大阪環状線、名古屋市営地下鉄名城線は同じ駅に戻ってくる環状線。電車が一方通行でグルグル回っている。

 鉄道路線にとって、もっとも列車を効率的に運行できるスタイルは環状線である。逆に言うと、通常の起点から終点へというタイプの鉄道路線は効率が悪く、運行頻度を高めるには工夫が必要だ。

 環状線がなぜ効率的かというと、起点から終点へ方式につきものの「折り返し」がないからだ。列車が駅で折り返す、という動作は、実はとっても手間がかかる方式である。例えば、列車が終点に到着すると、運転士は運転台から立ち上がり、最後部へ移動し、そこの運転台に座る。路面電車は1両なので「手間がかかる」とは言えないが、10両編成では200メートルもの移動になる。そのため、同じ運転士で折り返さず、反対側に交代用の別の運転士を待機させるという工夫がある。

 折り返し式の場合、到着列車が終着駅にさしかかっても、すべてのホームに列車が到着していると、どれかひとつの列車が発車して線路が空くまでは駅に進入できない。通勤電車の終点手前で「前の列車がつかえております」とアナウンスされるような状況だ。


環状路線の王様、山手線のダイヤ(営業列車のみ)。長編成列車の過密ダイヤは環状線だからできること

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