消費税アップでどうなる? 鉄道運賃「1円刻み制度」を試算した:杉山淳一の時事日想(4/6 ページ)
5月に入って「鉄道会社が運賃の1円刻み制度を検討、ただしIC乗車券に限り」と報道され、5月8日のJR東日本社長が定例会見で前向きに検討していると表明した。2014年4月の消費税改訂で、増税分を適切に転嫁するためだという。運賃はどう変わるのか、試算してみた。
1キロメートル単価なら東京―有楽町は20円じゃないの?
勘の鋭い人なら、鉄道運賃が1キロメートル当たり単価で決められているなら、東京―有楽町間のように短い区間の運賃は、本当はもっと安いのではないか、と思うだろう。確かに東京―有楽町間は0.8キロメートルで、1キロメートル未満を切り上げる(同8条)と1キロメートル。上記の計算方法を当てはめると、300キロメートル以下の単価16円20銭×1キロメートルで16円20銭。10円未満を切り上げると20円! 消費税は1円だから四捨五入で0円となる。つまり東京―有楽町間は20円となるはずだが、運賃表によると1キロメートルから3キロメートルの場合は130円となっている。6倍以上だ。こう考えるとボッタクリである(笑)。
実はこれも別途規定があって、営業キロが10キロメートル以下の場合は3キロメートルまで、6キロメートルまで、10キロメートルまでの段階別に運賃が決められている(同第84条)。この運賃は「幹線のみ」「地方線を利用する場合」「電車特定区間」ごとに決められている。電車特定区間は、東京と大阪の電車が頻繁に走る区間で、割引運賃を設定している。東京―有楽町間もここに入る。
わざわざ特例を作らずに、もともとの運賃単価を300キロメートル以下と大雑把にせず「10キロメートル以下の単価を75円」とした区分を作り、「1〜3キロメートルの場合は2キロメートルを基準にする」などと定めるとスッキリするような気がする。もっとも、これにしても「規則をこねくりまわすだけだから、もうそのままでいいや」という話だろう。こういう複雑な運賃体系になった理由は、鉄道の歴史の長さにほかならない。明治5年(1872年)の鉄道の開通から、徐々に開業区間が長くなって長距離輸送の運賃体系ができ、あとから短い区間を走る電車に合わせた特例ができた。条文を追加し続けたために煩雑になっている。
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