“脱モノづくり”路線は吉と出るのか――ソニー、取締役に生え抜き技術者ゼロの波紋(1/2 ページ)
実に5年ぶりの最終黒字に転じたソニー。今期はテレビなどエレクトロニクス部門の黒字化が課題となるが、新たな取締役人事ではソニーのDNAを持つ技術者が姿を消す。
実に5年ぶりの最終黒字に転じたソニー。今期(2014年3月期)はテレビなどエレクトロニクス部門の黒字化が課題となるが、新たな取締役人事ではソニーのDNAを持つ技術者が姿を消す。平井一夫社長(52)が旗を振る“脱モノづくり”路線は吉と出るのか。
13年3月期連結決算では、米本社ビルなどの資産売却やアベノミクス効果の株高などで何とか430億円の最終利益をかき集めた。今期について加藤優最高財務責任者(CFO)は9日の説明会で「エレクトロニクス事業を回復させて収益を上げる構造にする」と述べ、1344億円の営業赤字だったエレクトロニクス事業を1000億円程度の黒字に転換させると明言した。
本業復活へ不退転の決意で臨むはずのソニー経営陣だが、6月の取締役人事ではハワード・ストリンガー取締役会議長(71)とともに、技術畑出身の中鉢良治前副会長(65)が退任、取締役からエレクトロニクス部門の生え抜きがいなくなる。
「技術者軽視がここまで来たか」と語るのは、経済誌「月刊BOSS」の関慎夫編集長。「平井社長は、もはやハードでは利益が出ないと考えているのだろう。社内に創業者の井深大(まさる)氏のような人がいればいいが、久多良木(くたらぎ)健元副社長を最後にタレント(才能)がいなくなっている」のがソニーの現状とみる。
そして新任の社外取締役に起用されるのが、日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸(えいこう)会長兼社長(64)と米マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ所長の伊藤穣一(じょういち)氏(46)。
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