LCC、安い運賃にはワケがある――不安を関係者にぶつけてみた:相場英雄の時事日想(1/3 ページ)
そろそろ夏休みの予定をたてている人もいるだろう。安い宿を探したり、航空機のチケットを手配したり。ここ数年、LCCの台頭により、格安航空チケットが出回っているが、本当に“安全”に問題はないのだろうか。関係者に話を聞いた。
相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール
1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『震える牛』(小学館)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『鋼の綻び』(徳間書店)、『血の轍』(幻冬舎)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo
先に当欄で中国製の食品、あるいは一部ファストフードの食材が危うい一面を持つと紹介した(関連記事)。両者を読み解くカギは“低価格”。デフレ長期化の中、消費者の低価格志向に合わせる形で、食べ物を提供する企業が安全性をないがしろにしているのではないか、と警鐘を鳴らした。今回は、やはり低価格がウリのある業態にスポットを当ててみる。
台頭するLCC
気が早いかもしれないが、読者の中にはそろそろ夏休みの計画を立てている向きもあるのではないだろうか。早めに宿を押さえたり、目的地に行くまでの手段として飛行機のチケットを手配したり。
最近は、航空各社が早期の予約に大幅な割引措置を講じるケースが多い。かくいう我が家でも、家人が「どこに行く? どうやって行く?」とあちこちのエアラインのWebサイトをチェックしている。
高い航空運賃をコストダウンすることができれば、浮いたお金で食事代や宿泊費のグレードアップを図ることが可能だ。多くの読者が同じように早めの予約に動きだしているのではないだろうか。
日本航空や全日空の早期割引制度はもちろんのこと、最近台頭著しいLCC(ローコストキャリア)の利用を考える読者は少なくないはず。もちろん、我が家もLCCを選択肢の1つにしている。
仕事や取材での出張は、限られた日程での移動を余儀なくされる。急なスケジュール変更が頻繁にあるため、私自身は今までチケットの融通が利く大手航空会社を利用してきた。夏休みでギスギス予定が詰まっていないのなら、LCCを使ってみることもアリだなと判断したわけだ。
そんなぼんやりした思いを抱いていたら、過日、ある航空会社の関係者と会食する機会を得た。
LCCを利用するのはどうか? 先に触れたような事柄を説明したところ、「中身を精査した上でならアリ」との答えが返ってきた。
急なスケジュール変更が利かないこと、あるいは座席が極端に狭いといった自分なりに調べたポイントを指摘したところ、この関係者は頭を振った。「もっと大事なことがある」というのだ。
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