なぜリブセンスにできて、リクルートでできなかったのか――成果報酬型のビジネス:仕事をしたら“最年少上場”だった(前編)(1/7 ページ)
ネット上にアルバイト情報はたくさんあるが、ここ数年「ジョブセンス」に注目が集まっている。なぜ企業はこのサイトに広告を出し、ユーザーは応募するのか。サイトを運営している最年少上場社長・村上氏に、ビジネスモデルなどを聞いた。
「起業家」と聞くと、「野心がある」「お金にうるさい」「権力に興味がある」といった“ギラギラ”したイメージを浮かべる人が多いのでは。実際、人並みはずれたリーダーシップや向上心がなければ、組織をまとめることはできないだろうし、会社を大きくすることも難しいだろう。
記者はこれまでたくさんの経営者をインタビューして、多くの人から“ギラギラ”した雰囲気を感じてきたが、今回取材した人物は違った。彼の名前は村上太一。インターネットでアルバイトや物件情報などを運営する「リブセンス」の社長である。
2011年12月に史上最年少の25歳1カ月で上場し、彼は巨額の資金を手にしたはずだ。しかし、今でも8畳ワンルームで一人暮らし。「大きな家には興味がありませんし、たくさんのお金を手にしたいと思いません。強いてあげれば、おいしいモノを食べたいくらいですね」と、村上社長はサラリという。
取材中も終始ニコニコしていて、偉ぶったところがうかがえない。同席していた社員には親しい友だちのように話しかけ、社員からはまるでイジラレキャラのように接しられ、茶化されるシーンもあった。その姿は上場企業の社長ではなく、ごく普通の若者にしか見えないのだ。
ここでリブセンスの事業内容を簡単に紹介しよう。
同社の主力事業はアルバイト情報サイト「ジョブセンス」である。アルバイトを採用したい企業がジョブセンスに広告を出し、アルバイトを探している人がそれを見て応募する、というもの。
「なーんだ、そんなサービスは昔からあるじゃないか」と思われるかもしれないが、企業はサイトに「無料」で広告を出すことができるのだ。その広告を見て応募してきた人を採用したときに、初めて企業はお金を支払う。このような仕組みを「成果報酬型」と呼ぶ。また応募してきた人は採用されると、リブセンスから最大2万円の「採用祝い金」がもらえるのだ。
これまでにないビジネスモデルでもって、同社は一気に上場を果たした。しかし、疑問が残る。アルバイト情報といえばリクルートジョブズなどたくさんの企業が提供してきたが、なぜ彼らは成果報酬型のビジネスを立ち上げることができなかったのか。また村上社長は今後、どのような新規事業を考えているのか。話を聞いた。
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