なぜリブセンスにできて、リクルートでできなかったのか――成果報酬型のビジネス:仕事をしたら“最年少上場”だった(前編)(4/7 ページ)
ネット上にアルバイト情報はたくさんあるが、ここ数年「ジョブセンス」に注目が集まっている。なぜ企業はこのサイトに広告を出し、ユーザーは応募するのか。サイトを運営している最年少上場社長・村上氏に、ビジネスモデルなどを聞いた。
なぜ後発組は撤退していったのか
土肥:「ジョブセンス」のサービスを提供されて、ちょっと売り上げが伸びてくると、たくさんの企業が同じようなサービスを始めました。ハッキリ言って“パク”られたわけですが、ほとんどの会社はうまくいかず、サービスを撤退していった。その要因として、村上社長は以前「先行者利益があったから」と指摘されています。先行者利益ってどういったものなのか、具体的に教えていただけますか?
村上:求人サイトというのは、当たり前のことですが、求人がないとユーザーは使えません。アルバイトを探しているのに、求人がなければ「なんだこのサイトは!」となって、二度と見てくれないでしょう。
一方、ユーザーがいなければ、求人を載せる企業側は「ユーザーがいないんだったら手間がかかるし、もういいよ」といった話になります。広告掲載料が「0円」でも、企業側は保守コストや管理コストがかかってしまうので、やがて止めてしまうでしょう。
ジョブセンスのようないわゆるマッチング系のサービスを立ち上げるときには、企業とユーザーを同時にたくさん集めなければいけません。私たちは業界の中で、初めて「広告掲載費用を0円」にしました。創業当時、サービス内容を説明させていただいたところ、たくさんの企業から「珍しいね」といった声がありました。そして企業を集めることができたことによって、ユーザーを集めることにつながりました。
同じようなサービスを始めた企業から「成果報酬型です。広告掲載料は0円です」と紹介されても、すでにジョブセンスを利用されている企業からすると「あ、もういいですよ。他社のサービスを使っていますので」「また同じようなサービスですか」となるわけです。そうなると、企業が集まりにくくなりますよね。こうした流れができてしまうと、ユーザーも集めにくくなります。企業とユーザー……両方を同時に集めることができなかったので、多くの企業がこのサービスから撤退されたのではないでしょうか。
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