地域エゴだけで決めていいのか? 日本の骨格、北陸新幹線のルート:杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)
北陸新幹線の金沢延伸開業まで2年を切った。福井駅の先、敦賀までは2025年度開業目標となっている。しかし、その先の大阪まではルートが決まっていない。小浜ルート、湖西線ルート、米原ルートのどれがいいか。北陸、関西、関東の地域エゴだけで決めてはいけない。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
2014年度末、2015年の開業を控え、北陸新幹線の開業に向けた動きが活発になってきた。富山県では3月の議会で富山地方鉄道に新たな観光列車を導入、黒部峡谷鉄道やJR在来線、バス路線などの老朽化設備対策の補助金を予算化している。石川県は首都圏に向けた観光PRと観光客受け入れに向けた産業振興のファンドを立ち上げる。
5月28日、JR東日本とJR西日本は共同で北陸新幹線の列車名公募サイトを公開した。関東から北陸方面は、かつては在来線特急の「白山」が走っていた。現在は上越新幹線の越後湯沢駅と北陸方面を結ぶ「はくたか」が走っている。関西から北陸方面はかつて在来線特急の「雷鳥」が走っていた。現在はスピードアップされた「サンダーバード」が走っている。
東京駅から金沢駅までは直通列車だから、現在の列車名を転用できる。しかし、関西側は大阪駅と金沢駅の間は在来線のままだ。「サンダーバード」は在来線特急としてそのまま使い続けるだろう。従来は直通だった大阪駅と富山駅の間は、金沢駅で乗り換えとなる。この、金沢駅と富山駅を結ぶ接続列車の名前は何がいいだろう。
……という楽しい話題がある一方で、北陸新幹線については真剣に議論すべき問題がある。北陸新幹線は金沢開業時点では未完成で、その先の区間はルートが定まっていない。東京―大阪間を結ぶ計画を完成させなくてはいけない。
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