奨学金利用者の28.8%は延滞――背景にあるのは借りすぎ?(2/2 ページ)
大学生のときに奨学金を借りていた、という人も多いだろう。ある調査によると、大学生の3人に1人は借りているそうだが、彼らは返済のことを考えているのだろうか。
年収の約2倍の借金を背負って社会人生活を始めることに
奨学金を利用している学生はどのくらいいるのかご存じでしょうか。少し意外かもしれませんが、大学生のうち約3人に1人が奨学金を利用しています。専門学校や大学院などを含めると半分以上の学生が何らかの奨学金を利用しています。多くの学生が奨学金を利用している理由の1つに、近年の入試事情があります。
最近は推薦入試やAO入試(面接や志望理由書などを中心にした入試)が多く、一般入試で入学する学生は半数以下と言われています。例えば「AO入試で、東京の〇〇大学に入れた」というケースが増えているのです。
自宅から大学に通うことを前提に、親がある程度貯蓄をしていたけれど、独り暮らしの資金――家賃や生活費まで準備ができていない。このようなケースで、奨学金を利用する人が増えています。
ちなみに奨学金を利用した人のうち28.8%(平成23年度、日本学生支援機構調べ)は返済を延滞しているそうです。利用者が最も多い日本学生支援機構の場合、月に12万円まで借りることができますが、毎月10万円を借りると、4年間で480万円に。大学卒で上場企業に入社した人の初任給が約21万円ですから、年収の約2倍の借金を背負って社会人生活をスタートすることになります。「返す気持ちはあっても返せない」という人も多いのではないでしょうか。
将来、住宅ローンが借りれないといった影響がでる可能性もありますから、奨学金を利用する場合は、きちんと返せる範囲で利用することが大切です。
思った以上にかかる教育費用。できるだけ、奨学金に頼り過ぎることがないよう早めに準備してくださいね。(渡辺紀夫)
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