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トンネルだらけの沖縄新鉄道案は魅力に乏しい杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)

「沖縄本島鉄道計画」が実現に向けて動き出した。沖縄県が実現性を高めるべく検討した結果を発表した。沖縄県民と世界の鉄道ファンが待望する鉄道だ。しかし、内容を見ると、目論見どおりの観光輸送は期待できない。

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 しかし、鉄道ファンの私としては、ここは考え直して欲しい。他県から沖縄県への観光客は、飛行機でやってくる。そこからレンタカーを利用する客も多いだろうが、それ以外は、定期観光バス、路線バス、ゆいレールなどの公共交通機関を利用する。マイカーでやってくる人はごくごく少数だ。これは他県の観光需要とはまったく異なる。公共交通主体の観光客ばかりだ。そのなかには、当然ながら鉄道の需要だってあるはずだ。地元の人々が便利に使える公共交通手段は、観光客にとっても便利である。

 報告書では、建設費用を安く済ませるために、地上区間は既存道路の直上に設置するとある。それなら、トンネルは都市の中心に限定し、高架区間を増やしたほうがコストも下がり、高架区間の眺望があれば観光客も増えて、一石二鳥ではないか。鉄輪式リニアモーターは勾配に強いから、北部山岳区間のトンネルだって減らせそうだ。

 地元の人々に便利な鉄道、もうかる鉄道というプランに反対するつもりはない。しかし、魅力的な沖縄につくるなら、楽しい鉄道をつくってもらいたい。


新鉄道案の断面図。ギザギザの黒い線は標高を示す。赤い太線はトンネル(出典:沖縄県Webサイト)
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