デジタルマーケッターよ、デジタル“だけ”マーケティングをしていないか?:デジタル時代のマーケッターに問う(前編)(3/5 ページ)
6月13日に開催されたイベント「Adobe Digital Marketing Forum」において、「そもそもデジタルマーケティングとは何なのか」というテーマでパネルディスカッションが行われた。
デジタルマーケティングという言葉がゆがんでいる理由
甲斐: 高畑さんのお話に非常に共感するところがありますね。私の普段の生活ではルイ・ヴィトンを買ったりはしませんが、まさにそういう生活をしているなあと。
ところで、なぜデジタルマーケティングという言葉がゆがんだ形になっているのか、つまりデジタル“だけ”マーケティングになっているのか、ふり返る必要があるでしょう。
それはやはり、インターネットが出てきたときに、まず着目されたものが検索エンジン連動型広告やアフィリエイト広告だったことです。それらは非常に短期に成果が出るという驚異的なメディアとして登場しました。そしてあたかも「これがデジタルマーケティングなんだ」となったのです。
いま置かれている状況には、デジタルだけをやってきた人と、あえてデジタルを避けてきた人の世代間格差というものが存在しています。そのことが、デジタルマーケティングがうまく使えていない原因になっているのかなと思います。
小沢: 高畑さん、「一言でデジタルマーケティングとは」と聞かれたときに、どう答えますか?
高畑: デジタルの特性を生かしたユーザーとの心理戦というのが、私のデジタルマーケティングの定義ですね。デジタルには固執しないけれども、必要であればデジタルの特性を生かすというものがデジタルマーケティングだと思います。
小沢: 「ユーザーとの心理戦」というのは具体的にどういうイメージでしょうか。
高畑: 結局、自社のサービスに対して完全に振り向いてくれた人と、完全に背中を向けている人がいるわけです。後者に対してどういう方法をとったら、こっちを向いて「好きだよ」といってくれるだろうか。そのプロセスの中で、デジタルが一番強い部分が使えるのであればデジタルを使うし、アナログが必要な部分はアナログのアプローチをするということです。
関連記事
- Web、メール、SNS――ANAのネット戦略に学ぶ
1日の訪問者数40万人、販売額4300億円……大手ポータルでもEC専門サイトでもないのに大規模なWebサイトを運営しているANA。Web、メール、SNSとさまざまなツールを使いこなして顧客満足度を上げる、ANAのネット戦略とは? - 今、“ロイヤリティ経営”が注目されるワケ
既存顧客の満足度を高めることで、リピート率を高めることに重点を置く“ロイヤリティ経営”が近年、注目されています。インターネット接続サービスの朝日ネットを例に、その実現メリットを解説します。 - ネット時代のマーケティング担当者に捧ぐ、ソーシャル海の泳ぎ方
マーケティングも落ちたもんだ。素人を動員したあげく、だませずにバレるとはね。昔はやらせもプロの仕業だったのだ。 - デジタルコンテンツの制作現場が変わる――Adobe Creative Cloudとは?
PhotoshopやIllustlator、Acrobatといったアドビの最新ソフトを、月額5000円で利用できるクラウドサービスが登場した。電子書籍やアプリの開発も見据えており、発表会には蜷川実花さんときゃりーぱみゅぱみゅさんが登場した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.