英語と資本主義の共通点、日本語との根本的違いに思い悩む:ビジネス英語の歩き方(1/3 ページ)
国際都市上海を訪問し、現地で使われている英語のひどさを感じた筆者。改めて日本人と英語の相性について考察したところ、資本主義への理解の違いに思い至ったといいます。
「ビジネス英語の歩き方」とは?
英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。
この間久しぶりに上海に行きました。スモッグはひどいし、本場の上海やきそばは、真っ黒でとてもノドを通るようなシロモノではありません。今や周辺人口をあわせ3000万都市だそうですが、ますますカオスになっているように感じます。いずれまた触れることもあると思いますが、中国、それも国際都市上海の英語もひどいものでした。
英語と日本人の思考の違い
さて中国ほどではありませんが、日本人と英語の相性は、今まで何度か書いてきたようにあまりかんばしいものではありません。それは、日本語と英語の基本的な考え方、世界観があまりにも違うからです。あえて比較表を作れば、こんな感じになるのでしょうか?
比較項目 | 英語 | 日本語 | 日本人英語への影響 |
---|---|---|---|
自分と世界のかかわり方 | 自分から外の世界を見る 自己をものの見方の中心にすえる |
外の世界から、その一部として自分を見る 自分は他の人と作る集団の一員 |
主語として単数のI(私)を使うべきシーンでWeと言いたくなる |
数の概念 | 数の概念に敏感 | 単数、複数はあまり意識しない | 主語の単複と動詞の変化をうまく一致させられない |
文法 | 何について語るかを明確に提示 | あまり主題をはっきりさせない | 定冠詞、冠詞の使い方が分からない |
文章構造 | 1つの文章の中で、話題、事項の関係性を完結させる | いくつかの文章を連ねることで徐々に相手の共有部分を増やすコミュニケーション | コンマやピリオドに鈍感。全体の意味を決めるのは、言葉よりもそもそもの立場 |
主張の表現方法 | 自分が沈黙していると世界はひどくなるという思い | 自分が沈黙していれば世の中は何とかなっていく | 頭のなかでいろいろ考えるが声に出すことはしない |
こういう比較はよく見かけるものですが、一番右側に書いた日本人英語への影響というところがビジネス英語では問題になります。この部分が日本人英語のトラブルの原因の主なものだと言い切ってもいいくらいです。
従って、ここに書いたことの反対のことをやればいいのです。以下の4つを意識すれば、英語一般に相当強くなるでしょう。
- 主語はなるべく自分=I(アイ)を使う
- 主語と動詞、名詞の数を一致させることに徹底的に注意を払う
- The、Aの使い方は、意味を大きく変えることを意識し、自分が取り上げている話題の対象を知っているならTheをつかう。そうでない場合はAを使うという原則を理解する。学校で教えられたルールはすべて忘れて、この原則一本で行く。
- とにかく発言する。あまり中身がないかなと思っても、ちゅうちょせずに発言する。黙っていることはそこにいないのと同じ。周りから馬鹿にされると理解する。
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