ダイエットとコスト削減は同じです(1/2 ページ)
「リバースオークション」と「ビリーズブートキャンプ」は、コストや体重を劇的に下げるという共通点がある。しかし、共通する落とし穴も存在する。
著者プロフィール:坂口孝則(さかぐち・たかのり)
未来調達研究所取締役。大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。未来調達研究所株式会社取締役として、コスト削減のコンサルタントを行う。著書に『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)など。
「なぜ、元のコスト体質に戻ってしまったのか?」
2つの類似事象がある。1つ目。「劇的なコスト削減ができる」とうたわれている「リバースオークション(通称:RA)」というものがある。これは「逆オークション」とも呼ばれるもので、買い手の(バイヤー)のもとに複数のサプライヤーが集まり、落札価格を競うものだ。
サプライヤーは入札に勝利したいがために、価格を引き下げる。これまで1億円だったはずの購入価格が、そのリバースオークションを実施すると5000万円にまで下がった例もある。まるで魔法の杖、というわけだ。
しかし、である。そんなリバースオークションを使ってみたはいいものの、それ以降もその会社にコスト低減意識が芽生えたかというと、そんなことにはならない。リバースオークションを利用した短期間はコスト削減意識が盛り上がっていくものの、しばらくするとコスト高の体質に戻ってしまう。まるでカンフル剤を打つ患者のように、クスリが切れてしまえば、元通りというわけだ。
かつて流行したダイエット運動の「ビリーズブートキャンプ」も同じではないか。「ビリーズブートキャンプ」についてどれほど説明せねばならないのかは知らない。ビリー隊長のもとで、激しい訓練と運動をすれば(正確にはDVDを見ながら運動するわけだが)、短期間でやせるというあれだ。何を隠そう、私も一時期はこの「ビリーズブートキャンプ」を実践することで、体重が一気に落ちた。
しかし、いまではこの「ビリーズブートキャンプ」を続けている、という人を知らない。あれほどDVDが売れ、ブームになったはずなのに、今日時点で「ビリーズブートキャンプ」に熱をあげている人はいない。これはなぜなのだろうか。あれほど効果があるのに、誰もが続かない理由はなんだろうか。それが、私がこの二者に見る、奇妙な一致である。
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