国のチカラが弱くなっている中で、「国籍」に何の意味があるのか:小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(7)(2/4 ページ)
日本を離れて海外に住む人が増えつつある。米国在住経験を持つ小飼弾さんと松井博さんに、国籍や海外移住の持つ意味について語ってもらった。
日本人の間で安全志向が広がっている
松井:いま日本の人口の1%が国外に住んでいますが、まだまだ少ないです。
小飼:海外に住む日本人が1割くらいにならないと、日本の国内で「勘違いしてる人」はなかなか減りません。1割になると、親戚か親戚の友人は海外で暮らしてることになるから、海外暮らしが「自分のこと」になるんです。1%だとまだまだ他人事でしょうね。
松井:海外移住者の数はこの20年で倍くらいになっているのですが、今後はもっとペースが上がっていくと思う。ただ、日本人の間で安全志向が広がっているのではないでしょうか。先日もセミナーの席で「海外に1回出て、働いてみたらいいよ」といった話をしたのですが、なるべく安全にやりたいと思っている人が多かった。もちろんそうした考え方を責めるわけにはいきませんが、若い人にはもっと海外に出ていってほしいですね。
小飼:人は失敗して「痛み」を感じるのが嫌ですからねえ。なぜ僕が海外に出たかといえば、単純に家庭内が戦争状態だったから……一種の“難民”ですよ(苦笑)。それで行けそうなところを調べたら、米国ならなんとかなりそうだった。僕の場合はいやいやリスクを取ったけれど、取ろうと思えば取れるもんです。ただ、飛び込むまでは怖いですよ。
松井:怖いです。でも一旦飛び込んでしまえば、国境なんてなくなりつつあるし、国が弱くなってて意外と気軽に住める。2〜3カ国できれば、たくさんの国に住めますから。
小飼:働くのでなければ、語学力もいりませんよ。先進国の通貨をたくさん持っていれば、働かなくていいですからね。
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