家電からクルマのバルブまで――フィリップス・ドイツアーヘン工場見学記(2/2 ページ)
ガス灯が主流だった1920年代、電球の量産化に成功したことから始まったフィリップス。今も同社の自動車電球は多くのメーカー純正品として採用されており、特にキセノンバルブの生産量は世界No.1を誇る。
We make the shine
工場内に「We make the shine」(私たちが作っているのは輝きです)と書かれたポスターが貼られていた。このキャッチコピーの裏には「作っているのはモノではなく、光なんだ」という彼らのメッセージとモノづくりの姿勢があるのではないだろうか。
今後のフィリップスについて、マーケティング統括バイスプレジデントのディミトリ・ジャレード氏はこう話す。
「テクノロジーとイノベーション。我々がこれから核にしていくのはこの2つ。現在主流であるハロゲンバルブ、キセノンバルブはもちろんですが、LEDや有機EL、さらにレーザーといった次世代を担うであろう光源の開発は我々の命題でもあります。特に自動車産業は、新しいモノへの欲求が非常に高い。そして、日本は世界に名だたるクルマメーカーが複数ある国ですから、非常に重要なマーケットとしてもとらえています」
今回のアーヘン工場見学では、世界に名だたる多くのメーカーがフィリップスのバルブを純正で採用する理由を垣間見た気がする。1台のクルマに、全部で2万〜3万個ものパーツが使われていると言われ、バルブはその中のたった1つの、ごく小さな部品にしか過ぎない。しかしそこには、さまざまな技術と歴史が凝縮されているのだ。
たかがバルブ、されどバルブ。もし愛車をチェックする機会があったら、自分のクルマにはどこのメーカーのものが使われているかを知っておいて損はない。
※この記事は、誠ブログの「ライター栗山の取材日記:家電からクルマのバルブまで――フィリップスが照らす明るい未来」より転載、編集しています。
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