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食べ物の値段に“モノサシ”を持とう! まだまだ出てくる怪しい食品:相場英雄の時事日想(2/4 ページ)
スーパーやコンビニなどでは低価格な食品や食材が溢れているが、安いモノには必ず理由がある。自分が口に入れている食品は真っ当なモノなのか。食べ物の値段について、自分なりのモノサシを持つことが必要だ。
企業側の本音
『週刊文春』はこのほかにも最新技術で作り出された「結着肉」や「霜ふり加工肉」などに触れ、こうした食材を使う焼肉チェーン店を多数取材。多くの企業が実質的に取材を拒否した事実を掲載した。
私事で恐縮だが、この企画の冒頭に、私は『震える牛』(小学館文庫、WOWOW連続ドラマW)の著者・原作者として登場した。
自身が作品を執筆するにあたり、取材した食品加工業者の話を同誌記者に説明した。食肉を加工した身近で安価な食品群が添加物にまみれ、水などで文字通り“水増し”されていた事実だ。
当欄でも触れたが、同誌は中国での野菜生産の危うい実態を現地取材、こうした食材を使用している日本のファミリーレストランなどのチェーン店を実名で掲載するなど、このところ“食の安全”を熱心に追っている(関連リンク)。同誌に触発されたのだろう。一般紙もこうした“激安訳あり食品”を取材し始めている。
同誌によれば、一連の企画は読者からの問い合わせや激励が編集部に届いているという。一方、報じられた企業からの抗議も多数に上ったという。中には法的手段をちらつかせる企業もあるようだ。
これは私個人の見解だが、今後同誌が一連の企画で訴えられることはないとみる。なぜなら、訴えた以上、同誌報道を覆すだけの“真っ当なデータ”を法廷で詳らかにしなければならないからだ。企業側としては、“早く嵐が過ぎ去ってほしい”というのが本音だろう。
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