大学7年生の学生が、途上国に“最高の授業”を届けられた理由:仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(4)(4/7 ページ)
教師不足に悩む途上国に、DVDなどを使って“最高の授業”を届け続ける男がいる。早稲田大学の7年生、税所篤快さんだ。20代半ばの税所さんは、どのようにして世界各地の教育危機を救ってきたのだろうか。
教えてもらう力
土肥:著書『「最高の授業」を、 世界の果てまで届けよう』(飛鳥新社)を読ませていただきました。「五大陸『ドラゴン桜』」に取り組んでいる税所さんには「3つの力」があると思いました。
税所:わー、ドイさんって、コンサルタントみたいですね(笑)。
土肥:そんなことを言われたのは初めてです。では、今日はコンサルタント風に進めますね(笑)。
「3つの力」のうちの1つは「教えてもらう力」があるのかなと。高校生で米倉先生の講義を聴いて、直接会いに行く。そして、その後はまるで“弟子”のように、先生からさまざまなことを吸収していった。こうした行動ってなかなかできないと思うんですよね。高校生にとって大学の先生って、なんだかハードルが高くて。
税所:自分が「この人だ!」と思った人には、できるだけ多くのことを吸収するように心がけています。ボクはまだ学生なので、時間がある。会いたいと思った人には、電話をしたり、メールを送ったり、ときには“出待ち”をしたり。
例えば『グラミン銀行を知っていますか』(著・坪井ひろみ、東洋経済新報社)という本を読んだとき、とても感動しました。グラミン銀行はノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌス博士が総裁を務めるバングラデシュの銀行。貧しい人々を対象に小口融資で貧困の解決を目指すユヌス博士に会いたいと思い、バングラデシュに行って、グラミン銀行のインターンになりました。
会いたいと思った人には「自分はこう思っている。ぜひ会って話を聞かせてください」といったことを何らかの手段でお伝えしています。本を読んで「あー、面白かった」で終わるのではなく、できることならその著者に何かを教えてもらいたい。そして実際に会いに行く。そんなことを繰り返しているうちに、多くの人とつながることができ、たくさんの支援をいただくことになりました。
土肥:なるほど。私のような「教えてもらう力」がない人間は、本を読んでも「あー、面白かった」で終わり。著者に手紙を書いたことなんてありませんからねえ……その差は大きい。
(税所さんの話を聞きたい、ということで同席されていた)Hさんは、著者に手紙を書いたことってありますか?
Hさん:うーん、ないですねえ。でも高校生のころに、好きなアイドルにファンレターを送りました!
税所と土肥:……。
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