「チャック、開いてますよ」と言える人が成長する理由:絶対に達成する技術(1/2 ページ)
言いたいことを本音で言い合える場こそが「学び合いの場」になります。苦手な人を敬遠してはいけません。価値観の違う人と触れ合うと、自分だけでは不可能な創造性を発揮できます。
集中連載「絶対に達成する技術」について
本連載は、永谷研一著、書籍『絶対に達成する技術』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
あなたは「いつも目標を達成する人」は、どんな人だと思いますか? 根性がある人、負けず嫌いな人……、いろんな人を思い浮かべるかもしれませんが、目標を達成できる人とは特別な能力を持った人ではありません。
目標達成とは、根性論や気合いとは無縁の、単なる「技術」なのです。やる気があるかどうかも、関係ありません。やり方を知っているか、知らないか。それだけです。つまり、「すごい人」や「才能に恵まれた人」だけが使えるものでははなく、誰でもマスターできるということです。そして、一度その方法を身につけると、そこから少しずつあなたの可能性が広がっていくのです。
本書では、目標を達成したい、少しでも自分を成長させたいと願う多くの前向きな人たちに向けて「5つの技術」をやさしく解説しています。さまざまな企業で「目標達成」の研修を行い、それぞれの人の「目標設定」と数カ月後の「実際に達成できたのか」のデータをのべ1万人以上にわたって分析したプロフェッショナル・永谷研一が、“絶対に目標達成できる技術”を教えます。
著者プロフィール:
永谷研一(ながや・けんいち)
発明家、株式会社ネットマン 代表取締役。
1966年静岡県沼津市生まれ。東芝テック、日本ユニシスを経て、99年4月、学校や企業の教育にITを活用した「学び合う場つくり」を提供する、株式会社ネットマンを設立。
心理学や行動科学などの豊富な知見をベースに、教育用ITシステムの企画や開発、運営を行う。また、日立、三菱東京UFJ銀行、旭化成グループ、楽天、キヤノンMJといった企業での「目標達成」「習慣化」などの研修を行うほか、明治大学、東海大学などでキャリア開発研修の講師を務める。
人材育成系のITシステムで日本初の特許のライセンス保持者。2005年特許出願。2007年日本で取得完了。2012年米国にて取得を成功。
2001年よりケータイを活用した授業システムを提供しているパイオニアであり、現在佐賀県武雄市教育委員会のiPad利活用教育のアドバイザーなどでも活躍中。
NPO人材育成マネジメント研究会理事長も務める。日本の元気を取り戻すべく教育イノベーションを提唱し、全国に未来を創る教育イノベーターを生み出すことに注力している。
「ズバリ!」と言うことは、大人の思いやり
ある日の会社での出来事です。1度も話したことのない同僚が前から歩いてきます。あなたは、彼のズボンのチャックが開いていることを見つけてしまいました。さあ、どうしますか?
- 言いたくても何も言えず、通りすぎてしまう
- 後ろから近づき、静かに肩をポンポンとたたき、無言で下の方に目配せする
- 同僚だけに聞こえるように「あの、チャックが開いてますよ」とハッキリ伝える
1を選んだ人は、ひどい人です。その後、同僚はお客さまと重要な面談があるかもしれません。恥をかいてしまうことになります。
2を選んだ人は、やさしい人です。そっと気付かせようとしたのですから。でも他人行儀で、かえって恥ずかしかったかもしれません。
3を選んだ人は、目標達成する人です。スピーディーに、かつ確実に相手に伝わりました。
「ズバリ!」と相手に対して言うことは、大人の思いやりです。気付いているのに言わないのは冷たい行為です。しかし、組織の中では思っていても言わない(言えない)ことがよくあります。
なぜ、はっきり言えないのでしょうか? それは相手の反発が怖いからです。面倒なことに巻き込まれまいと、人に指摘することを避けるのです。
また、無理に相手に合わせることを「思いやり」「仲間思い」だと勘違いしている人も見受けられます。そんな仲良し(のふり)の場は価値がありません。本当に居心地がいい場所とは、自分を成長させてくれる場所です。自分が気付かないことを気付かせてくれる場所です。「ズバリ!」と言い合える場こそ、お互いに成長できる場なのです。
ただし前提条件があります。それは、何を言われても「ありがとう」という感謝の気持ちを、お互いがもつことです。たとえそれが苦言であったとしても、自分を成長させてくれる大事な言葉だからです。
言うほうにも勇気が必要なのです。それでも、あなたのことを思って言ってくれるのです。だからこそ「言ってくれてありがとう」という気持ちを、お互いがもつ必要があります。相互に感謝する場は「安心の場」となり、お互いが成長できる「学び合いの場」になります。だから居心地がいいのです。
大人の場というものは「仲良し(のふり)」をするのとはまったく異なります。好き嫌い、気が合う合わないはまったく関係ありません。お互いに違いを認めて尊重し合い、学び、成長し合える場なのです。
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