満席のはずが乗客なし! 今日も“幽霊”が列車に乗っている:杉山淳一の時事日想(2/6 ページ)
SL列車や夜行快速列車などの人気列車は、指定券発売開始からほどなく完売となってしまう。しかし実際に乗ってみると空席が目立つ。予定を変更した客がキャンセルしないためだ。そのせいで「本当に乗りたい客が乗れなかった」という事態が、もう何年も続いている。
なぜキャンセルしてくれないのか
全車指定席、満席にもかかわらず空席がある。こうした経験は何度かあった。この日の「ムーンライト信州81号」にも、私が乗った車両と隣の車両で10席ほどあったから、6両編成全体では少なくとも、その倍以上の未乗車がいただろう。他の日に乗った「ムーンライトながら」や「ムーンライトえちご」でも同じ経験がある。
ムーンライトだけではなく、SL列車など観光列車でも同様だ。満席とアナウンスされた列車で、始発から終着まで空席。そんな様子を見ると、「本当は乗りたかった人が乗れなかっただろうな」と気の毒になる。いままでに私が満席であきらめた列車も、本当は空席があったかもしれない。
乗りたい列車がある。指定券を買う。事情で乗れなくなった。キャンセルする。これは自然な流れのはずだ。しかし、最後の「キャンセルする」をしない人が少なからず存在する。キャンセルは「未使用の指定席料金を返してもらう」という行為だけではない。「他に乗りたい人のために席を空ける」という意味がある。そこに想像力が働かないらしい。
そればかりか、「人気列車だからとりあえず席をキープしておこう」という人もいる。金曜か土曜に乗る予定で、両方の指定券を購入し、乗らない日の指定券をキャンセルしない。さらにひどいパターンは、乗るつもりがないのに人気を見越して指定券を購入し、オークションに出品する。売れ残った場合キャンセルしない、という事例もある。
もっとひどいパターンだと、ひとりしか乗らないけれど、2つ並んだ座席を使いたい。だから指定券を2枚購入し、車掌には自分の席の乗車券と指定券しか見せない。指定券は2枚買う。でも乗車券は自分だけ。ここまでくるとJRに対する営業妨害である。
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