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満席のはずが乗客なし! 今日も“幽霊”が列車に乗っている杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)

SL列車や夜行快速列車などの人気列車は、指定券発売開始からほどなく完売となってしまう。しかし実際に乗ってみると空席が目立つ。予定を変更した客がキャンセルしないためだ。そのせいで「本当に乗りたい客が乗れなかった」という事態が、もう何年も続いている。

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 JRにとっては「キャンセル未遂」より「乗車券を伴わない指定券」を購入されるほうが痛手だろう。移動サービス料金の本体は乗車券である。指定券はオプションだ。オプションだけ買われて乗車されない、つまり乗車券が売れなかった場合の損失は大きい。それに、乗らない人が列車を満席にしてしまうと、その列車に乗りたかった人が乗れない。乗れなかった人たちは「指定券が取りにくいから」と鉄道の旅をあきらめてしまう。これだって機会損失である。

 もっとも、鉄道に限らず、日本の企業の営業施策は性善説だったかもしれない。「指定席を使わないなら、次に使いたい人のためにキャンセルする」は、アタリマエのことだった。いや、営業施策に限らない。「途中の駅で降りるなら、次に使う人のために座席のゴミは残さず持っていく」とか「トイレをふだん以上に汚してしまったら、次に使う人のためにトイレットペーパーで拭いておく」など、他人への気配りができない人が増えているようだ。

 残念ながら「顧客は常に正しい行動をする」という性善説では営業施策は成り立たない。指定券販売施策は、不公平を抑止する方向で改めてほしい。

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