少子高齢化が進み、人口が減少している中、労働力の確保が大きな課題になっている。その労働力として女性に注目が集まっているが、現在女性の管理職はどのくらいいるのだろうか。
全国の会社に、自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を聞いたところ「0%(全員男性)」と答えたのは47.6%であることが、帝国データバンクの調査で分かった。さらに「5%未満」(23.9%)、「5%以上10%未満」(9.6%)が続き、これらを合わせると、女性管理職が「10%未満」の企業は81.1%にのぼった。
「10%未満」を規模別でみると、「中小企業」が78.8%だったのに対し、「大企業」が88.7%と10ポイント近く高く、大企業における女性登用の割合が低いことが明らかに。業界別では「農・林・水産」が97.3%で最も高く、「運輸・倉庫」(88.7%)、「建設」(85.8%)、「製造」(85.3%)が続いた。企業の約4割で女性従業員割合が半数を超えていた「小売」においても、女性管理職割合が「10%未満」の企業は67.3%と3社に2社にのぼっている。
女性管理職の登用について、企業からは「結婚を機に退職する女子社員が多く、社員教育のための投資が無駄になるケースを幾度となく経験したため、定着率が高い男性社員の登用が優先されがちになっている」(医療用機械器具卸売、千葉県)、「女性従業員を登用したいが、株主の反対で不可能な状況」(化学製品卸売、東京都)、「零細企業では、育児休暇をとる人を登用し活用するのは現実的に難しい」(製缶板金業、兵庫県)といった声があった。
管理職への女性登用が進んでいないことについて、帝国データバンクは「企業が制度整備を行い、組織の活性化や女性の視点をいかすために積極的に登用するだけでなく、政治や行政により女性が働きやすい労働環境や制度を整え、男性・女性従業員の双方がともに働き方に対する意識改革を進めていくことなど、社会が一体となって解決策を見出す必要がある」とコメントした。
全国の1万395社が回答。調査期間は7月19日から31日まで。
関連記事
- なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。 - 借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由
国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか? - 「ライフネットが本当にあってよかったね」――お客からそう言われ、“気づいた”こと
保険会社というのは歴史のある会社が多く、「ライフネット生命」のような独立系の生保が誕生したのは、実に74年ぶり。いまから7年前に設立したが、実際にビジネスを始めてみてどんなことが“分かった”のか。社長の出口治明さんに話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.