大学発ベンチャーの5割が黒字――課題は?
大学発ベンチャーはいつごろに設立されたところが多いのだろうか。帝国データバンクが調べたところ、1998年から増え始め、2003年にピークを迎えた。
6月7日に閣議決定された「科学技術イノベーション総合戦略」には、大学の機能強化などとともに大学発ベンチャー企業の活性化が盛り込まれている。大学発ベンチャーは増えているようにも感じるが、実際のところはどうなのだろうか。
帝国データバンクが設立時期を調べたところ、1998年から増え始め、小泉政権下で実施された「大学発ベンチャー1000社計画」の2003年にピークを迎える。それ以降は徐々に減少しており、2011年にはピーク時の5分の1ほどになっていることが分かった。
大学発ベンチャーを業種別にみると、トップはサービス業の258社(構成比48.1%)で、全体の約半数を占めた。サービス業の中でもソフトウェア受託開発(57社、10.6%)などIT関連が多くを占めたほか、特許やノウハウ自体を商材とする技術提供業や経営コンサルティングなどが社数を押し上げた。
次いで製造業(190社、35.4%)、卸売業(71社、13.2%)が続いた。このほか医療機器や医薬品に関わる企業が多く見受けられ、主なものだけでも73社(13.6%)に達しており、大学での研究と親和性が高い分野に集中している。
2012年の売上高を規模別にみると、「1億円未満」の企業が360社(67.2%)と7割近くを占めた。売り上げが5000万円に達していない企業が、251社と半数近くまで達し、中小零細規模の大学発ベンチャーが大半を占めていることも明らかになった。また損益状況を調べたところ、黒字企業が166社(54.6%)と過半数を占めた。業歴別でみると、「5年未満」企業の3分の2が赤字であるのに対し、「10年〜15年未満」の約6割が黒字となっている。
この結果について、帝国データバンクは「かさむ研究費用や、経営者としての経験の有無など、多くの不安定要素を抱える大学発ベンチャーの早期の黒字化は難しい。行政や大学側の支援が必要な半面で、政府には効果的な予算の執行が求められる」とコメントした。
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