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『風立ちぬ』の喫煙シーンがダメ? 禁煙学会の要望書に疑問:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』が公開されている。その劇中、喫煙の描写に問題があるとして、日本禁煙学会が要望書を送ったことが話題になっている。なぜ禁煙学会は、この作品に要望書を提出したのか。その背景には、ある思惑が……。
ちなみに、拙著『震える牛』(小学館)がWOWOWで実写化された際のことに触れる。劇中、主演の三上博史氏はスパスパ煙草を吸っている。原作にはない演出であり、ベテラン俳優さんが考え抜いた役作りの一環だ。禁煙学会がジブリに要望書を出した観点からすれば「アウト」だ。しかし、WOWOWに問い合わせたところ、本稿執筆時点で同学会からの要望書は届いていないうえ、視聴者からの苦情もないという。
また、漫画作品『書かずの753』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊、作画:中山昌亮氏)の本編中にも、「ニコチンが切れると記事が書けなくなる記者」が登場する。この作品に関しても、要望書の類いは届いていないという。
繰り返しになるが、どんな種類の啓蒙活動も邪魔するつもりはない。だが、創作活動の領域まで“啓蒙”が踏み込んでくるのは、大人げないうえに、別の思惑まで惹起することになるのではないだろうか。
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