最初は売れなかった? これまで語られなかった「じゃがりこ」の裏話:これからの働き方、新時代のリーダー(前編)(2/6 ページ)
「じゃがりこ」といえば、カリカリ・サクサクした独特の食感が特徴だ。カルビーが1995年に発売して以来、ロングセラー商品となっているが、開発秘話はあまり知られていない。開発に携わった担当者が多くを語らなかったからだが、18年経った今、当時の裏話を打ち明けてくれた。
「じゃがりこ」が誕生した経緯
土肥:甲斐さんは20代後半に、カルビーの「じゃがりこ」の開発に携われたそうですね。今日は開発秘話をお聞きしたいのですが、その前にひとつ質問。名刺に「クリエイティブディレクター」(CD)と書かれていますが、具体的にどんなことをされているのでしょうか?
甲斐:CDとは、コピーライター、CMプランナー、デザイナー、アートディレクターなどがいる中で、チームをまとめて指揮をとるのが仕事ですね。多くの人はコピーライターやデザイナーから出発してキャリアを積んで、CDになる。私の場合、基本はCDですが、仕事によってはコピーライターとして参加したり、CMプランナーとして参加したりしていますね。
土肥:なるほど。甲斐さんは広告代理店に勤めていらっしゃるときに、カルビーを担当されていた。当時はポテトチップスの広告などを担当されていたそうですが、どのような経緯があって「じゃがりこ」が誕生したのでしょうか?
甲斐:その前に、逆質問させてください。カルビーといえば、どんな商品を想像しますか?
土肥:ポテトチップス、かっぱえびせん……。多くの人が一度は口にした商品がたくさんある、そんなイメージがありますね。
甲斐:ドイさんのような方が多いのではないでしょうか。1990年代の前半、スーパーやコンビニの棚にはカルビーの商品がたくさん並んでいました。スナック菓子の棚をみると、6〜7割がカルビーの商品でした。
土肥:す、すごいですね。
甲斐:ただ、大きな課題もありました。カルビーが新商品を出しても、自社の商品を棚からおろさないと、新商品を並べてもらえない……そんな状況になっていたんですね。つまり、売り上げが伸びにくくなっていました。チームのスタッフと飲みにいったときには「このままではいけない。新商品のアイデアを考えなくては」といった話ばかりしていましたね。
そういったときに、コンビニではPOSシステムを導入するところが増えてきました。POSシステムとは、商品の販売情報を記録して、その結果をマーケティングの材料にできるシステムですよね。そのPOSデータをみると、中学や高校の女子生徒が学校の登下校に何を購入しているのかが見えてきたんです。
土肥:どんなモノだったんですか?
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