「日本は中韓が嫌い」というイメージがある限り、世界は慰安婦問題をマジメに聞きやしない:伊吹太歩の時事日想(1/4 ページ)
自国が国際社会の中でどう思われているのかをコントロールすることは重要だ。筆者の友達の英国人は言う。「慰安婦問題で日本が正しいことを言っているとしても、世界は素直に聞き入れないだろう」と。
著者プロフィール:伊吹太歩
出版社勤務後、世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材、夕刊紙を中心に週刊誌「週刊現代」「週刊ポスト」「アサヒ芸能」などで活躍するライター。翻訳・編集にも携わる。世界を旅して現地人との親睦を深めた経験から、世界的なニュースで生の声を直接拾いながら読者に伝えることを信条としている。
2013年9月末、世界中の首脳が国連総会に出席するためにニューヨークに集まった。安倍晋三首相は、一般討論演説で女性の人権について話をすると報じられていた。一方、緊張関係にあるお隣の韓国は、従軍慰安婦問題について触れるのではないかという見方があった。
筆者はちょうどそのタイミングで、欧米メディアで働く英国人記者と話す機会があった。慰安婦問題の取材もしているこの友人は、こんなことを言った。
「世界的には、日本人は韓国人が好きではないというイメージがある。そのイメージは、日本の外交分野でマイナスに働く。例えば従軍慰安婦の問題についていえば、日本が正しくても『韓国の言い分が間違っていると日本が主張しても、日本人は韓国人が嫌いだから頭ごなしにそんなことを言うんだな』と受け取られてしまう。日本国内での反韓デモも、海外に伝えられるとそのイメージを強くするだけ。日本にとってはマイナスだと思う」
日本人なら思い至らないような客観的な意見だが、一理ある。そしてそう考えると、国のイメージというのは外交問題においても非常に大事だと分かる。そんなことから素朴な疑問に行き着いた。世界の人々は、ほかの国々をどういう印象でみているのか――。
日本は好感度ランキング4位に後退
先端技術と伝統文化、また独特のカルチャーのおかげで、日本は世界から好意的に見られていることは、もはや意外でもなんでもない。それでも、2013年に英BBC放送が2つの調査機関と一緒に行った調査では、日本は「世界の好感度ランキング」でドイツに1位の座を奪われたのだ。
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