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「クルマを使ったプロモーションが刺さらない」――レクサスがたどりついた結論とは?プレミアムブランドの育て方(3/5 ページ)

夜の博物館を小型ロボットヘリが飛びまわる動画が話題になった。レクサスのプロモーション動画だ。クルマへの興味を失った人が増えていく中、レクサスのブランディングチームは従来と異なる方法を模索している。

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「何だかイケてるね」を提案し、化学反応を期待する

岡田: 動画プロモーション以外にも、2013年だけでもさまざまなブランディング活動を行われました。レクサスの場合は、日本国内だけでなく、世界に向けての取り組みもあったと思います。

河辺: まず、国内の例でいえば、8月に東京・青山にオープンした情報発信拠点「INTERSECT BY LEXUS(インターセクト バイ レクサス)」。レクサスがターゲットと考えるユーザー、われわれは彼らを「Mr.LEXUS(ミスターレクサス)」と呼んでいますが、その人たちのライフスタイルを提案する場所です。新しい価値観を感じられるスペースとして運営していきたいと思っています。

INTERSECT BY LEXUS
INTERSECT BY LEXUS

 もともと「ブティック ギャラリー プロジェクト」と呼んでいました。最終的には人と人、人とクルマが交わるようにと「インターセクション(交わり)」から名付けました。そこに集うのは、レクサスのオーナーである必要はありません。

 いろいろな人やモノが集まることで、新しいクリエイティブなモノが生まれる。まったく知らない人たちが隣り合わせで座ることで化学反応が起きて、想像もしなかった新しい方向性が作られていく。そういうような場所になればいいと思います。

岡田: クリエイターのサロンのようなイメージですか? そしてレクサスがパトロンであるような。

河辺: それはちょっと違うかもしれません。1階にはカフェ、2階にはエキシビジョンスペースやライフスタイルアイテムを販売するショップが入っています。そして、デザインやアート、ファッション、カルチャー、映像、音楽、テクノロジー……、そういうものを通じて、たまたま同じ空間を共有した人が新しいライフスタイルの何かを感じられればいいのです。

INTERSECT BY LEXUS

 インターセクトは「イケてる空間」になったと思います。「あそこって、何だかイケてる人がたくさん集まってるよね。今度、行ってみようかな」となって、それぞれの価値観のピースをはめていって、ふと「あれ、このピースを提供してくれた人たちって……『レクサス』じゃん」と気付いたときに初めてわれわれが登場すればいいのです。

岡田: クラウンのときは「いつかはクラウン」と明示的なビジョンを示していました。レクサスの場合は「いつのまにかレクサス」なのですね。

河辺: ぜひインターセクトに遊びにきてください。カフェでコーヒーを飲むだけでも、いま説明したことが感覚的に分かってもらえると思います。インターセクトの前を通りがかっても、これがレクサスだとは気付かないかもしれません。ショールームのような「ギラギラしていて、クルマを売ってナンボ」というニオイを感じさせないように設計しています。

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