「ゆとり」部下をどうマネジメントするか:プロフェッショナルサラリーマン――実践Q&A編(2/3 ページ)
どこの部署でも使いものにならず、あちこちでたらい回しにされた揚げ句、自分の部署で引き取ることになった……。このような人物を更正させるには、どのように教育すればいいのだろうか。
「ゆとり世代をさらに甘やかすのか」「つけ上がって、図に乗るだけじゃないのか」という批判の声が聞こえてきそうです。しかしたとえどんなに使えない人材であっても、その存在を肯定することは、組織管理のためにも必要なことです。
ふつう僕たちは、並外れてできのよくない人がいると、その人を排除したくなります。「こいつさえいなければ、もっと生産性が上がるのに」とうんざりして、「よそに異動になってくれないかな」と思う。
でもそういう人でも、正規の入社試験をパスして入ってきたはずです。その人を採用したのは、いわば会社のミスなのです。そして、あなた自身もその会社の一部です。だとしたら本人を責めてばかりいても始まらない。まずは本人を肯定することです。
存在を肯定するといっても、彼や彼女のキャラクターを肯定するとか、そのサボり度合いを肯定するという意味ではありません。その人を採用したのは会社なのだから、彼や彼女がこの場にいるのは当たり前だ、という事実を認めることです。
組織というものは精鋭ばかりで構成されているのが理想ですが、必ずしもそうはいきません。なぜか必ず一定の割合で、生産性の低いグループが生まれるものです。働きバチでさえ、よく観察すると、2割くらいは仕事をしているフリをしているのだと言います。それではその2割を除いてよそへ移せば、残りの全員が働き者になるかといえば、困ったことになぜかそうはならない。今度は残った8割のうちの2割がまたサボり始めるのだそうです。なぜそうなるのかはわかりませんが、これはきっと人間にも当てはまることのような気がします。
ということは、いくら彼が使えないからといって、彼を切って捨てることにはなんの意味もない。マネジメントとしては、このような人物への対処方法を覚えるしかありません。つまり、どんな集団にも必ず彼のような人物が交じるということを想定して、下位の2割もそれなりにパフォーマンスを上げられるように持っていかなければならない。そのことに成功すれば、残り八割のパフォーマンスはさらに底上げされる。組織力をつけるというのは、そういうことです。
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