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あなたの会社は、定年まで働ける会社ですか?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

「先が見通せなくて不安だ」という、30代前半の男性。定年まで自分がこの会社にいるとは思えない、将来自分はこういう働き方をするのだろうなというモデルがいない……実はこういうケース、最近増えています。あなたも同じことで悩んでいませんか?

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企業の人事担当者たちも、課題を感じ始めてはいる

 冒頭の話を企業の人事担当者たちに話してみると「確かにそれは問題だと感じています」という声が多く聞かれました。スタートアップやベンチャーという時期を通り過ぎて、ある程度組織として成熟し始めているけれど、同時に自社の従業員が一定の年齢以上になったときにどんな仕事をしているのか、ちょっと想像がつかない、と戸惑っているとも話してくれました。

 人事担当者によっては「うちの会社に定年までいると考えている従業員は、一人もいないと思いますよ。私自身もまったく考えていませんし、イメージできないのが正直なところです」と、そもそもそういう前提すらないという人もいました。

 しかし、その人事担当者が50歳で退職したとしても、世の中の定年と呼ばれる時期までには、まだ15年近くあります。年齢による足切りを企業がしなくなりつつある、といっても、50歳の人を今と同じ条件で働いてくださいと迎え入れる体制が、そう簡単に整うとも思えません。

 目の前にいる上司を見て、自分のロールモデルにすることは難しくないでしょう。しかし、その上司を見ていても、定年を迎えるタイミングでの自分のことは想像できません。そんな先のことを考えてもしょうがないよ、という声も聞こえてきそうですが、先が見えないけれども、頑張って働きましょうといわれても、なかなか頑張れないのが、正直なところなのではないでしょうか。

あなたは、自分の受け取れる退職金の額を知っていますか?

 退職金にしてもそうです。読者の皆さんは、自分の会社の退職金の仕組みを確認したことがあるでしょうか。多くの企業は一定の勤続年数を経た人でない限り、まとまった金額の退職金にならないような仕組みであることが多い。

 テレビの情報番組などで、年金生活に向けてのマネープランを考える特集などを見ていても、定年時に退職金が数千万単位で受け取れる、という前提で話がされています。しかし当然、すべての人がそれだけの金額を受け取れるわけではありません。

 定年退職者を出したことがない企業に勤めている人ならば、自分たちが定年まで勤めることを前提として受け取れる、その退職金の額もイメージできないかもしれません。

 いつまで勤められるのか分からない、勤め上げたときにいくらのお金を手にしているのか想像できない。先例がないから不安になるけれど、答えがあるわけではないので、何をしていいのか分からなくなる……そういう負のスパイラルに陥ってしまう人がいても、まったく不思議ではないのです。

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