宝くじに当たって幸せになる人、不幸になる人:なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?(2/2 ページ)
米国の宝くじで大金を手にした人の10年後を追跡調査した結果によると、ほとんどの人が当選前と変わらぬ生活に戻っていた。宝くじで人生を変えられるとしたら、その大金を上手に使って、お金持ちになるための自己改革を遂げることだったはずだ……。
割引券や優待券をもらいたがる人ほど「運」が落ちる?
お金に執着する人ほど、いろいろな紙切れを大切に持っている。割引券や優待券、抽選券、ポイントカードなどなど。これらはお金を節約するきっかけにもなる半面、お金を浪費するきっかけでもある。
これらの紙は、売る側が販売促進のためにばらまくもの。その券を持っているだけで得するわけではなく、もう1回、あるいはもう何回か続けて買い物をするから得をする(ようにみえる)仕掛けがなされている。
問題は、得をするために起こす消費行動がそもそも必要なことか、という点である。初めて買った靴屋さんで割引券をもらった。次回に5000円以上の買い物をすると、1000円割引きになるという。
しかし、靴などしょっちゅう買うものではない。次回がいつかも分からないし、たとえ覚えていて来店したとしても、買いたい商品がその店にあるとは限らない。でも、ゲットした1000円割引の券を使いたくてその店にまた戻ってくる。まるで飼いならされた伝書鳩ではないか。
欲しいものは、欲しいときに、ときめく場所で買う。それが人間の自然な消費行動だ。小さな優待や割引で、自分の未来の行動まで縛ってしまうのは、もったいないことではないだろうか。
買い物でマイレージやポイントを貯めようとすることにも程度がある。何でもかんでもマイレージ至上主義になってしまうと、それもまた操り人形のように思えてきて悲しくなる。私は今まで3000人の「お金の相談」に乗ってきたが、その中でも、損得ばかりで行動する貧乏思考の人は、お金に恵まれていない人が多い。
身近な例で言えば、バーゲンセールで無駄なモノを買ってしまうのも、欲張りの悲しい性であり、何枚ものクレジットカードを持っていたころの昔の私も、そのような行動をとっていた1人でもあったのだが……。
(なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?=終わり)
著者プロフィール:
北川邦弘
ファイナンシャルドクター。北海道出身、1957年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。
総合商社勤務の後に不動産デベロッパーに20年勤務。バブル期に100億円近い債務を背負い、自宅は競売に付され預貯金も差し押さえられる。職までも失うが、友人たちの応援を受けて2002年にライフデザインシステム株式会社を設立し、新たにファイナンシャルドクターとして個人の資産運用を啓蒙する仕事で再起を遂げた。
すべての体験を糧に、100歳までたくましく生き抜く人生戦略(定年までに1億円を作るプロジェクト)の普及に取り組んでいる。早稲田大学エクステンションセンターで人気講座「心豊かに生きるためのお金のお話」を9年間連続開講中。また、オールアバウトで資産運用のプロとして「大人のお金トレーニング講座」を連載中。CFP(上級ファイナンシャルプランナー)取得者。
関連記事
- 新婚夫婦に聞く、貯金はいくら?――人生設計の有無で違い
新婚夫婦で人生設計を立てている人はどのくらいいるのだろうか。結婚3年未満の人に聞いたところ、「人生設計を立てている」と答えたのは47.2%であることが分かった。アットホーム調べ。 - 外貨預金による資産運用の不安は「為替の変動が読めない」「リスクが高い」がトップ
アベノミクスの影響で円安が進んでいる。しかし海外へよく行く人の場合、資産を外貨で運用したいというニーズも多いだろう。外貨預金による資産運用について調査した。 - お金持ちと貧乏人は「お金の流れ」が違う
お金持ちになる人となれない人とでは、お金の使い方にどんな違いがあるのでしょうか。今回は、お金の流れを川に、貯蓄をダムにたとえて説明します。 - そもそも「株」って何?
今さらですが、「株」とは何でしょうか? そして、株を買うことでどんなメリットがあるのでしょうか? 今すぐ分かる株式投資の基礎の基礎をおさらいしましょう。 - 株式投資とFXって、どんな違いがあるのですか?
現在銀行に預けている70万円を、なんとかして増やしたいと思っている長野真歩さん。しかし株式投資とFXの違いが分かっていないようです。そこでお金のことに詳しい岡村先生に、金融の仕組みを聞きました。 - 「マネーゲームはしたくない」――投資意識にリスクを避ける傾向
円・ドル相場での円高が継続しているが、消費者は投資についてどのように考えているのだろうか。20歳以上の男女に聞いた。田中貴金属工業調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.