ルーツは病院にあった? 今年46歳、ボンカレーの過去:仕事をしたら“レトルトカレー”ができた(前編)(1/5 ページ)
1968年に発売された「ボンカレー」は、どのように開発されたのだろうか。製造元の大塚食品に聞いたところ、意外な答えが返ってきた。カレーが入っている袋を殺菌するために……。
レトルトカレーと聞いて、どの商品名が浮かびますか?
沖縄出身のY嬢に聞かれ、いくつかの商品名を挙げたところ「ドイさんはやっぱり本土の人ねえ。沖縄の人は違うんですよ。レトルトカレー=ボンカレーなんです」
な、なんと、本当に? 気になったので、複数の沖縄県民に聞いたところ、一同「レトルトカレー=ボンカレー」だった。
多くの人が一度は食べたことがあるモノだと思うが、なぜ沖縄の人の間でそれほど定着しているのか。いや、それだけではない。そもそもどのようなきっかけで、レトルトカレーを作ろうと思ったのか。当時の技術力からいって、レトルトカレーを開発するのは困難を極めたはず。気になることがたくさん出てきたので、ボンカレーのマーケティングを担当している大塚食品の垣内壮平さんに話を聞いた。
開発のきっかけ
土肥: ボンカレーを取材するにあたり、ちょっと調べてみました。まず驚いたのは「世界初の市販レトルト食品」であること。1968年2月に産声をあげて、今年で46歳。1968年にどんな出来事があったかというと、「3億円事件」(東芝府中工場の従業員のボーナスが強奪された)があったり、米国のキング牧師が暗殺されたり、物騒なことがありました。その一方で、川端康成が日本人で初めてノーベル文学賞を受賞しました。
「川端康成」と聞くと、そーいえば学校で習ったよなあ……といった感じで歴史上の人物という印象がありますよね。そんな時代にどのようなきっかけで、レトルトカレーを作ろうと思われたのでしょうか?
垣内: 米国の雑誌に、缶詰に代わる軍隊の携帯食としてソーセージを真空パックにしたモノが紹介されていました。雑誌記事を読んで「この技術を使えば、お湯で温めるだけで食べられるカレーができるかもしれない」と考え、開発を始めました。ボンカレーが発売される4年前……1964年のことですね。
土肥: 開発に4年ほどの時間がかかっていますが、どんな苦労があったのでしょうか?
垣内: レトルト食品を長持ちさせるためには、殺菌をしなければいけません。そのために、どんな技術を応用したと思いますか?
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