線路はつながっていても――京葉線とりんかい線の直通運転はなぜ難しい?:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
森田健作千葉県知事が5月13日、JR東日本京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線の直通運転の実現を目指す意向を表明した。この二つの路線は新木場駅で接続しており、線路はすでにつながっている。直通運転の障壁は何か。解決に何が必要だろうか。
それでも直通運転のメリットは大きい
利用者の立場としては、京葉線とりんかい線の直通運転は魅力的だ。京葉線沿線の人にとって、渋谷・新宿・池袋・大宮など埼京線と湘南新宿ラインの各駅にアクセスしやすい。また、都内からは幕張メッセや東京ディズニーリゾートへアクセスしやすくなる。運賃が割高になっても、東京駅と新木場駅の二つの乗り換えがなくなるだけでもありがたい。京葉線直通でりんかい線の利用者は大幅に増えるだろう。
さらに視野を広げると、京葉線からりんかい線経由で羽田空港への乗り入れも見えてくる。現在、JR東日本が上野・東京ライン整備に関連して、休止した貨物線を整備し、田町付近から羽田空港への旅客線を構想中だ。このルートに東京貨物ターミナルがある。ここは先に述べたように、りんかい線の車両基地がある。貨物線とりんかい線を結べば、京葉線と羽田空港が結ばれる(関連記事参照:「どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――未来編」)。
京葉線とりんかい線の線路はつながっている。直通運転のメリットも大きい。障壁は運賃計算規則である。もっとも簡単な解決策は、東京メトロ東西線経由と同じく「全区間JR東日本料金適用」だ。つまり、東京臨海高速鉄道には減収を覚悟してもらうしかない。その場合、要望している千葉県側が、東京臨海鉄道の減収を補填するか、いっそ東京臨海高速鉄道の高額運賃の原因となっている債務を千葉県が肩代わりすれば……そこまでしてくれるだろうか。
大胆な発想として、JR東日本が東京臨海高速鉄道を買収してJR東日本の路線にするとか、誰かが東京臨海高速鉄道の債務を肩代わりして運賃を下げる。そのくらいのことをしないと直通運転は実現できない。森田知事の粘り強い交渉力と関係各位の努力に期待する。しかし、実現できなくても、誰も責められない。それほど難しい問題である。
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