2015年、「クーリングオフ」の制定でケータイビジネスが一変するかもしれない:キャッシュバックも月々割も消える?(4/5 ページ)
携帯電話や光回線といった、通信サービスの契約にクーリングオフが近々導入されることをご存じだろうか。携帯電話の店頭販売におけるトラブルから、消費者を守るためのものだが、実はケータイビジネスを一変させる可能性を秘めている。
クーリングオフ導入で、端末と回線の分離販売が始まる?
では、携帯電話の回線契約にクーリングオフが導入されると、われわれユーザーや携帯キャリアにどのような影響が出るのだろうか。
まず、携帯キャリアから考えてみよう。すぐに思いつくのは、回線と端末をセットで販売する形式が変わる可能性だ。クーリングオフが発生すれば、一度ユーザーの手に渡った端末の返品に応じなければならない。端末にSIMロックをかけ、各携帯キャリアが端末販売を抱え込む仕組みである以上、「回線契約のクーリングオフは受け付けるが、端末は別」とは言いにくいのではないか。返品された端末は“中古品”になるのか、といった問題もある。
一応、回線と端末の契約書は別ではあるのだが、だからといって、端末のクーリングオフを受け付けないというのは、ユーザーが納得しないだろう。もしそれを許せば、「自宅で電話がつながらないから、クーリングオフした」というユーザーは、SIMが入っておらず通信できない端末と、2年契約なら2年間の端末の残債だけが残るという笑えない状況に陥る。
研究会では「回線と端末を別々に販売する方式に変えることも検討している」(研究会元構成員)というが、これは、端末のSIMロックフリー化を進めるきっかけにもなる。ただ、それですべての問題が解決するほど単純な話ではない。販売方法を変えても、回線を解約したら使えない端末だけがユーザーの手元に残ることに変わりはないし、各携帯キャリアで仕様が異なる、周波数や通信方式が問題になる可能性もある。
また、回線と端末の分離販売が実現すれば、昨今よく見かける「キャッシュバック」や「端末の実質負担金ゼロ」といった販売戦略にも影響が出る。これらの手法は、ユーザーを一定期間同じキャリアで縛ることで、月々の通信料からキャッシュバックの原資や端末代を捻出する――つまり、携帯キャリアが回線と端末をセットで取り扱うからこそ可能なシステムだからだ。
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