企業内SNSを定着させる方法:松岡功の時事日想(2/3 ページ)
ソーシャルネットワーク(SNS)は今や一般に広く利用されているが、これを企業向けに活用する仕組みとなるとまだまだ普及が進んでいない。なぜか。ガートナージャパンのバイスプレジデント・志賀嘉津士氏によると……。
企業内SNSを定着させる6つのステップ
志賀氏はさらに、企業内SNSを定着させるために必要な6つのステップについて次のように説明した。
まず1つ目は、目的の設定である。新しい価値を生み出すのが目的であることは先に述べたが、その価値には「企業にとっての価値」「参加者にとっての魅力」「コミュニティの誘引力」といった3つの要素があり、それらが重なるところに目的を見出すのが得策だ。それは異なる組織間にも有効で、例えば営業やR&D(研究開発部門)、企画、広報・宣伝を横断して競合分析を行うことが挙げられる。
2つ目は、ゴールの設定である。これは設定した目的に対してのゴールでもあるが、要はこうなれば成功だというビジネスやマネジンメント面でのゴールを明確に打ち出すことである。志賀氏によると、実はこれまで企業内SNSを導入したうちのおよそ7割の企業が定着に失敗している。その理由は目的もさることながら、ゴールを明確に設定していないことが大きな要因だという。
3つ目は、ポリシーガイドラインの策定である。これには4つの段階がある。まず、既存の服務規定をオンライン上で適用する。次に、建設的な行為と望ましくない行為を例示する。そして、「ホットゾーン」の周知徹底を図る。最後に、社員が問題を相談できる窓口を作る。ちなみにホットゾーンとは、個人情報・機密情報の流出や経営者の失言といった最も危機管理が求められる領域のことだ。
4つ目は、対策本部の設置である。3つ目の最後の段階で述べた相談窓口も1つの機能となるが、ここで志賀氏が強調したのは、企業内SNSの運営やゴールへのアクションに向けて全組織部門に担当者を置き、それらを束ねる形で対策本部を設置することである。基本的にはビジネス部門が主導し、IT部門はそれをサポートする役目を果たすのが望ましいという。
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