「元極道」が明かす、詐欺師にダマされないためのポイント:窪田順生の時事日想(1/3 ページ)
詐欺の低年齢化が問題になっている。警察や自治体が問題解決に取り組んでいるが、なかには意外な人物もいる。それは、元・極道。広域組織の下部団体で組長を務めた人物に、詐欺の被害者にならないためのポイントを聞いた。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
詐欺の低年齢化が問題になっている。
振り込み詐欺被害の4割が集中する東京都で、昨年逮捕された「少年」は105人。3年前に比較すると8倍にもはねあがり、中学生が高齢者宅で金を受けとる「受け子」をしていたケースも報告されている。
少年法を改正して「厳罰化」すべきだというような過激な意見もあるなかで、自治体や警察だけではなく、さまざまな人々が問題解決へ向けた取り組みを始めているが、なかにはかなり“意外な人物”もいる。
それは、元・極道だ。
名前は、鬼龍(37歳)。さる広域組織の下部団体で組長を務めた人物だが、すでに組は解散。現在は政治結社「新日本臥龍会」の会長を務めている。鬼龍氏は言う。
「今の若い人はあまりにも安易に詐欺に手を出している。日本の未来を考えると、それは社会にとって大きな損失です。私は教育でこのような悪い流れを食い止めたいと思っています」
そう聞くと、読者のなかには「いやいや、それはあなたたちのような人たちが裏で糸を引いているんじゃないの」と思うかもしれないが、鬼龍氏は一概にそうともいえないと否定する。
「確かに、かつて私がいた世界では、そのような詐欺グループに関わる者も多くいました。それは事実です。ただ、私自身は若い者には詐欺だけは手を出すなと言って、キャバクラや金融などの“本業”をするように指導をしていました。高齢者などをだますというのは、任侠道から外れることだからです。個人的には、詐欺は撲滅すべきものだと思っています」
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