なぜこんなに高いの? 化粧品の原価と売価の関係:数字のオモテとウラを学ぶコラム(1/4 ページ)
「化粧品はなぜこんなに高いの?」と思ったことがある男性も多いのでは。「女性が美しくなるのには“必要なコスト”」と言われてしまえば、それまでかもしれないが、価格が高いのには理由があるはず。そこで、資生堂とファンケルの原価と売値の関係を分析した。
数字のオモテとウラを学ぶコラム:
企業のWebサイトを見てみると、プレスリリースのほかにも、決算情報や月ごとの業績資料など、参考になる情報がたくさん眠っています。主にマスコミや専門家向けに公開されているものですが、実はビジネスパーソンにとってもためになる資料なのです。「企業→マスコミ→自分」という情報の流れのほかに、「企業→自分」という情報の流れを持つことは、スピード感が求められる今のビジネス社会では、大きな“武器”になるでしょう。
この連載では、企業が発表するプレスリリースや決算短信などを題材に「なぜこのような発表が行われるのか?」「この発表の舞台裏では何が起こっているのか?」「今後、この企業はどうなるのか?」という疑問に対して、著者がときに答え、ときに推測します。
著者プロフィール・眞山徳人:
公認会計士。大手監査法人にて、監査業務のほか、管理会計の導入から経営ビジョンの策定にいたるまで、さまざまな種類のコンサルティング業務に従事。また、大学や大学院でのインターンシップ研修の運営や各種企業研修での講師も担当。
難しい会計やビジネスの世界を分かりやすくひも解き、「中学生でも分かるように」説明することを信条としており、書籍や雑誌でも物語や漫画などの形式で会計の仕組みを解説している。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。誠ブログ「公認会計士まーやんの『ロジカるつぼ』」を連載中。
日常生活を送っていて、「ラーメンの原価率ってすごく安いんだよね?」「同じスーツなのに、なんでブランド品になるとこんなに値段が違うんだろう?」と思ったことがある人もいるのでは。モノの値段と言うのは、本当に不思議なものです。
実はモノの値段のつけ方は、企業側にとっても非常に難しいのです。高すぎる値段だと消費者は寄り付きませんし、かといって安すぎる値段をつけてしまうと「低品質」のレッテルを貼られるかもしれません。企業からすれば、しっかりと理由付けをして値段をつけているのに、消費者からは「何でこんな値段なの?」と首をひねるようなシーンがあるということですね。
というわけで、今回は値段のカラクリをひも解くために、化粧品業界の2つの企業を題材に、分析をしてみたいと思います。
商売の基本的の流れ
化粧品が世の中に出てくるまで、どのようなプロセスを経ているのか、まずは簡単に紹介します。下の図は「バリューチェーン」と呼ばれるもので、企業が世の中に製品、サービスを出すまでにどのような形で価値を作り出しているかを考察するために役立つ図です。
バリューチェーンは業種や業態によって少しずつ形が変わるのですが、化粧品メーカーの場合は概ね次のようなバリューチェーンが当てはまるでしょう。
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