中堅社員の心を折らないために、上司がやるべきこととは何か:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(3/3 ページ)
前回のコラムで「『自分で考えろ』と若手社員を突き放す上司が、“仕事ができない若手”を作り出している」と書きました。今回はその続き。上司と若手の間にいて、若手のチューター的役割を果たしていたはずの中堅社員は何をしていたの? というお話です。
中堅の心を折らないために中間管理職のやるべきこととは?
そんな中堅社員の心を折らないために、上司である中間管理職ができることは、どうやら2つありそうです。ここで簡単にまとめておきますので、心当たりのある中間管理職は、さりげなく心に留めておいてください。
(1)若手の前でひっくり返さない
これ、とても重要です。若手の中堅への信頼を減衰させる要因に「言われたこと、アドバイスされたことが役に立たなかった。それどころか全く違っていて、そうすることで怒られた」という「現実」があります。目の前にその状況が突きつけられたらどうなるかは、考えれば分かることですよね。でも、分かっていても、ついやってしまう。中堅のプライドはズタズタです。
少なくとも「目の前でひっくり返さない」ことが肝心です。もし、上司の都合で、中間管理職がひっくり返さなければならなくなったときには、まずは中堅社員を呼んで「状況が変わったので、若手をさりげなく方向転換させてくれ」と指示を出すべきでしょう。スピード優先のビジネス社会だからこそ、このあたりの手を抜くことで、モチベーションダウンがおき、後でスピードアップできない悲劇は避けるべきです。
当然、「お前がついていながら何をやっているのだ」と叱るのは論外です。
(2)情報の共有は密にする
今回の話は、多くの人が「中堅が中間管理職の立場になって考えれば、ある程度は防げることではないか?」と思うかもしれません。しかし当然ながら、役職が上がれば上がるほど、持っている情報の量は飛躍的に増えるものです。持っている情報の量が多いから良い、というものではありませんが、少なくとも、判断をする材料には事欠きません。それが少ないというのは、判断を誤る可能性があるということ。ましてや、自分が普段会うことがないような上司たちが、何を考えて判断を下しているのかなど、中堅レベルでは分かりません。
日々の情報共有をある程度密に、もしかしたら、自分の代わりが務まるかもしれないくらいに意識して、「受け取った情報は即渡す」くらいに共有しておけば、中堅のポジションにいる人間の能力もアップしますし、判断に誤りが少なくなります。
同時に、ある程度の朝令暮改があったとしても、中間管理職の判断がまずかったのではなく、突然降ってきた、いわば「お互い被害者である」という意識も生まれるはず。そうすると、モチベーションダウンも若干防げるかもしれません。
激動のビジネス社会。スピードをさらに上げるために、朝令暮改は仕方ないことでしょう。だからこそ起きてしまう歪みに目を向けておかないとその後とても苦労しますよ、というお話でした。
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