安倍さんの成長戦略を潰そうとしているのは誰か 犯人は“医療ムラ”:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
サプリメントの規制緩和をめぐって、消費者庁が揺れている。安倍政権がチカラを入れている成長戦略を骨抜きにしよう、という動きがあるのだ。具体的にはどんなことが……。
業者をたて続けに摘発
健康食品の摘発はこれまで2〜3カ月に1業者というのんびりとしたペースだったのに、6月5日にポンポンポンとたて続けに3業者、さらに10日にも1業者があげられたかと思えば、13日にも1業者を摘発したのである。
「半沢直樹」に出ていた金融庁のオカマ検察官ではないが、「国家権力ナメんなよ、おめーらなんていつでも潰せるんだぞ」という実に分かりやすいメッセージが発動されたというわけだ。
この問題を追いかけている記者ならば当然、何が起きているのかはすぐ分かる。が、官僚の話を右から左へという人々はのっかってしまう。だから、消費者庁や検討会の委員も務める国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広さんからのネタで、こんなネガティブ記事が量産されていく。
「健康食品狙われる高齢者 うその効果 仕入れ値70倍」(6月11日、朝日新聞)
「『3カ月で理想の姿に』 健康食品販売会社に措置命令」(6月13日、朝日新聞)
消費者庁が最も困るのは世間から「安倍ちゃんの成長戦略を骨抜きにするのか!」という批判がもちあがることだ。だから先手をうって貶(おとし)めたい連中のネガティブな印象を広めておく。プロパガンダの基本のキである。
ご存じのように、この手の謀略にもっとも長けているのは、「官僚のなかの官僚」である財務省だ。「日本の国債が紙くずになるかも」なんて嘘八百をふれまわり、高級官僚の話はノーチェックで掲載するマスコミを利用し、増税キャンペーンを張ったのも記憶に新しい。
そんな財務官僚と比べると、消費者庁にはまだ国民を騙(だま)すことに抵抗がある善良な人が多いのか、この手のプロパガンダにも粗が目立つ。それがよく出ているのが、13日の摘発と同時に公表された以下のメッセージだ。
消費者庁は、これまでに、いわゆる健康食品の痩身効果を標ぼうする表示について、景品表示法に違反するとして、5件の措置命令を出しています。今回、これら措置命令で問題となった広告表現のほか、健康食品に関する専門家の意見等を、「消費者の皆様へ(健康食品の表示について)」(別添)として整理しました。(出典:健康食品の表示について - 消費者庁(PDF)
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