新生VAIO、“ソニーじゃなくなる”とどうなる?:VAIOのDNAを継承「VAIO株式会社」発足(1/5 ページ)
VAIOがなくなる? こんな心配もあったが、ソニーから分離した新生「VAIO株式会社」が7月1日に無事発足した。ただ「ソニーのVAIO」でなくなった弊害はないのか。いくつかの疑問をひもとこう。
既報の通り、ソニーからPC事業を分離した「VAIO株式会社」が発足した。
ソニーは2014年2月に業績が低迷していたPC事業の切り離しを発表。VAIOブランドおよび企画、設計、開発、製造などに至るPC事業を日本産業パートナーズ(JIP)へ譲渡し、ソニー本体とは切り離すかたちでVAIOシリーズを展開する新会社を設立した。これがVAIO株式会社だ。
本社をかつてVAIOシリーズの生産拠点だった旧ソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイト(長野県安曇野市)の場所へ置き、経営、開発、製造、サポートの機能を集約(東京オフィスは広報・マーケティング部門のみを設置)。グローバルでも展開していた1000人以上規模のソニー時代から、従業員数240人「国内向けのみの小規模な直販(ネット通販のみ)PCメーカー」として、スリムで迅速に活動できる構造に組み替えて展開する。
「PCはなくならないという強い信念を持っている。従来、顧客が求めることをすべて追求すると、結果としててんこ盛りになってしまう傾向があった。新生VAIOは事業テーマとして“選択と集中”を実践し、やらないことを決め、そこからやることを集中して挑む。本当に大事なものをよりとがらせる=ズバッと刺さるVAIOらしい商品を提供する方針で展開する」(関取社長)
代表取締役社長に就任した関取高行氏は発足会見で「本質プラスα」という言葉を何度も使用した。
PCの本質とは何か──Webやメール、ちょっとしたコミュニケーションはスマートフォンやタブレットでカバーできるようになった。「で、PCで何をするの?」と、PCを取り巻く環境は厳しく、未来がないと思われている。ただ、真剣に向き合う作業や何かを生み出す作業には何を使うか。業務シーンではどうか。そんな人はその道具に何を求めるか。本当にユーザーが求めているPCの姿を突き詰める姿勢、ここをVAIOの本質と位置付けた。高付加価値の商品に特化して挑むようだ。
その姿勢は「決してVAIOはなくならない」を強くアピールし、印象付けてくれたことに安心した。
ただ「ソニーのVAIO」でなくなった弊害はあるのか。設立会見やこれまでの発表内容から、いくつかの疑問をひもとこう。
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