業務提携ってどのように進めるの? JALの達人に“交渉術”を聞いてきた:仕事をしたら“交渉”が成立した(1/7 ページ)
「『業務提携』を担当する人って、厳しい交渉をしなければいけない……」といったイメージがあるが、実際のところはどうなのか。JALでコードシェアを担当している人に、他社との交渉術を聞いてきた。
JALの広報担当をしているSさんから電話がかかってきた。「ドイさん、コードシェアを担当している人を取材しませんか?」――。コードシェアとは、2社以上の航空会社が1つの飛行機の座席を各々の便名で販売すること。カウンターで予約手続きを一括で済ませることができ、荷物を目的地まで運んでもらえるので、利用者にとっては便利なサービスだ。
紹介していただける人は、海外の航空会社と難しい交渉をしているらしい。航空会社で働く人といえば、パイロットや客室乗務員など多くの人が憧れる仕事を想像するが、なぜコードシェア担当の人をオススメしてくるのか。
失礼を承知で、ちょっと地味過ぎませんか? と返事をしたところ、「確かにそうかもしれませんが、JALのコードシェアを担当している人が報道されたことって、これまでほとんどないんですよ」(Sさん)。いわゆる“初モノ”に弱い記者にとって、この言葉に、グッときてしまった。「海外の航空会社と提携交渉を……」と簡単に言うけれど、実際はものすごく厳しい世界に違いない。読者にも「交渉がうまくいく方法」といったネタを提供できるかもしれない。
そんなこんなで、インタビューをお願いすることに。取材当日、仕事がチョーできる百戦錬磨の人が登場してきて、海外風にいきなり握手を求められるのかなと思っていたら、ものすごく物腰が柔らかい人がニコニコしながら現れた。コードシェアの仕事を始めてまだ4年目。JALに入社して、まだ8年目。若いのに優秀なのね……と思いながら、名前を聞いたところ「カムチャイパイ・クンラウィッチです」。タイで生まれ育ったので、タイ語はもちろんのこと、英語も日本語もペラペラだという。
「じゃ、インタビューは英語にしましょうか?」と言えば、カッコよかったのかもしれないが、実際は「すいませんが、日本語でお願いできますか? あ、大丈夫? よかったあ……(汗)」といった感じで、大切な“交渉”が成立した。聞き手は、Business Media 誠編集部・土肥義則。
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