なぜ岡山少女監禁事件で「壁一面に少女アニメポスター」という情報が流れたのか:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
岡山の少女監禁事件でマスコミが「犯人の自宅に美少女アニメのポスターを貼っていた」と報じたことで、批判の声があがっている。それにしても、なぜこのような情報が流れたのか。背景にあるのは……。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
岡山の少女監禁事件でマスコミが「犯人が自宅に美少女アニメのポスターを壁や天井にまんべんなく貼っていた」と報じたことが、「オタク差別だ」とか「少女アニメファンが犯罪者予備軍だと印象づけようとしている」と批判の声があがっている。
宮崎勤(東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の容疑者として逮捕、死刑判決が確定し、2008年に刑死した)の時代から、少女が犠牲になる事件が起きるたびに、いわれのない「差別」を受けてきた美少女アニメファンからすれば腹をたてる気持ちも分からんでもない。ただ、個人的には今回の事件においてはその特殊性から、「美少女アニメ」もあながち無関係な話ではないと思っている。
昔、新潟で下校途中の9歳の少女を9年2カ月間監禁した男の部屋に足を踏み入れたことがある。そこにあったのは大量のラミネート加工したアイドルやスーパーカー写真だった。潔癖性の男は「汚れ」を極度に嫌った。自分が「美しい」と思うものにホコリがついたりするのが我慢ならない。だからラミネートで覆ったのである。
男は誘拐してきた少女を9年2カ月の監禁中に一度たりとも部屋から出さなかったという。事件発覚当初はそんなの絶対ウソだと思って取材をしていたが、彼の「コレクション」を実際にこの目で見たことで、その異常な行動の意味が分かった気がした。
「監禁」というあまりに異常な犯罪を、しかも少女を相手に行うという発想は我々には到底理解できない。そのために「精神鑑定」があるじゃないかと思うかもしれないが、 異常な行動に走る犯罪者というのは、決して本当のことは明かさない。要するに、自分の都合のいいような話しかしないのだ。
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