金融業界にさらなる再編? 横浜銀と東日本銀、統合の意味:競争さらに激しく(2/2 ページ)
経営統合に向けて交渉中の横浜銀行と東日本銀行。両行が統合に至った背景や、統合による効果、業界にもたらす影響などを専門家に聞いた。
都内金融機関の再編が加速?
以上の点から、横浜銀行と東日本銀行が経営統合したケースを分析する。両行の店舗網は重複が少ない一方で関東圏に集中していることから、営業力の強化につながるはずだ。横浜銀行の9割近くの店舗は神奈川県内にある。東日本銀行の店舗は都内(47店舗)を中心に茨城県、埼玉県、千葉県など隣接県にも展開している。横浜銀行も都内に60店舗あまり有しているため、東日本銀行と合わせると100店舗を超える。
既に都内では、2014年10月に東京都民銀行と八千代銀行が経営統合して「東京TYフィナンシャルグループ」を設立するなど競争が激化している。横浜銀行と東日本銀行の経営統合は、都内における新たな競争環境への対抗力を高めることができるだろう。
一方で、銀行間の経営統合においては、企業文化の違い、経営スタイルの違いなどが統合の妨げになる場合が多い。統合においてリーダーシップが曖昧となり、経営に混乱をきたすことも考えられる。規模で対等の経営統合はより難易度が高い。その点、規模のバランスから比較的スムーズな統合が期待できる横浜銀行と東日本銀行のケースは理想的と言える。
東京都民銀行および八千代銀行に続く今回の両行の経営統合は、都内における競争をさらに厳しいものとし、信用金庫や信用組合などほかの地域金融機関の統合につながる可能性がある。こうした地域金融機関同士の統合による経営力の向上は金融庁も推進するところだ。地域金融機関の再編・統合がさらなるうねりをもたらし、金融業界の大きな潮流となるかもしれない。
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