日本人は世界一気が短い?――顧客サービス世界10カ国調査:カスタマーサービスに電話、あなたは何分待てますか(1/2 ページ)
世界10カ国の消費者を対象に、顧客サービスに対する考え方を調査した結果、日本人の「良いサービスを受けられるのは当たり前」「1回嫌な思いをしたら何もいわずに別の会社に替える」など、顧客サービスについても非常に厳しい国民性が明らかになった。
アメリカン・エキスプレス・インターナショナルは11月10日、日本を含む世界10カ国の消費者1万14人に対して、顧客サービスに対する意識や考え方についてのインターネット調査を実施した。
調査を行ったのは日本のほか、米国、カナダ、メキシコ、イタリア、英国、オーストラリア、インド、シンガポール、香港の10カ国。2010年、2011年、2012年に続き、本調査は4回目の実施となる。「世界で最も商品の選択基準が厳しい」と言われる日本人は、顧客サービスについても「良いサービスを受けられるのは当たり前」と厳しいようだ。調査結果のうち、日本人の国民性が垣間見られる部分を中心にまとめてみた。
企業を選ぶ際に重要な要素は「高品質の製品」
サービスを提供する企業を選ぶ際の決め手として重要な要素は? と聞いたところ、重視する人の割合が最も多かったのは「高品質の製品」(41%)。次いで「コストパフォーマンスの高さ」(32%)、「優れた顧客サービス」(13%)と続く。
同じ質問を海外の回答と比較すると、「高品質の製品」が1位に来るのは日本だけ。多くの国では「コストパフォーマンスの高さ」がトップに来ている。
良い顧客サービスが受けられるのは当たり前、期待を上回るサービスにもお金は払わない
このように「高品質の製品」を求める一方で、日本人は「良い顧客サービスを受けられるのは当たり前」と感じる傾向があるようだ。
「以前に良いサービスを提供されたという理由で、その企業を利用するために他社よりも高い金額を支払った経験がありますか?」という問いに対し、「はい」と答えた日本人は10カ国中最も低い35%。他の9カ国の平均71.5%と比べると大きく差が出る結果となった。
日本にはチップを払う習慣がないために、優れた顧客サービスを受けるのは当然、と思う人が多いということだろう。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授の野崎俊一氏は「期待を上回るサービスは無償のサービスであり、“奉仕”と受けとめる日本人客は多い」とコメントしている。
「背景には、自分が属している集団(家族、会社、サークルなど)に依拠した相対的価値判断に基づいた行動をとる傾向が強く、無形財の価値を判断することに慣れていない傾向がある。例えば、誕生会や接待等で、幹事が相手から『おもてなし』に対する想像以上の高い評価を相手から受けたとしても、お店へは当初予算の支払額範疇に収めるのが大半である。期待を上回るサービス提供の対価はその場で支払われるのではなく、リピートや第三者を紹介する形でお返しをするケースが多く、正しく日本的な返礼と言える」(野崎氏)
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