スマホバブルがはじけた3つの理由:神尾寿の時事日想(2/3 ページ)
iPhoneシリーズを中心に昨年度まで活況を呈していたスマートフォン市場が、ここにきて急にトーンダウンしている。出荷台数は減少し、端末販売全体に占める比率も低下。その原因とは……?
払拭できぬ割高感
2つ目の理由は、スマートフォンの維持費に対する割高感が払拭されないことである。スマートフォンはフィーチャーフォンに比べて大量かつ頻繁にパケット通信を行うことから、定額通信料の設定が元々“高め”。さらに今年度に入ってから導入された新料金プランで、基本料金に音声通話定額が組み込まれて値上がりし、パケット料金の設定も家族契約や複数台利用を前提にしたものに変更された。
この新料金プランは「家族契約もしくは1人複数台利用を前提にし、音声通話・パケット通信ともに平均的に使う」のならばボリュームディスカウントが効いて安くなる。しかし、家族契約をしていなかったり、そもそもの利用量が少なかったり、逆に音声通話をあまりせずに一般平均よりもパケット通信量が多い、といったユーザーには割高・値上げとなるものだった。
一方、現在のフィーチャーフォンユーザーを見ると、1ユーザーあたりの月間支払額は3000〜4000円前後。パケット料金定額制の上限まで達していないというユーザーも少なくない。本来であれば彼らの利用形態にあわせて月々の維持費が安いスマートフォン向け料金プランが必要なのだが、スマートフォンでは販売コストやサポートコストがかさむことや、既存ユーザーのARPU(平均事業収入)が下がる恐れなどもあり、大手キャリアはそうしたプランを打ち出せずにいる。その代わりに導入されたのが、家族などの複数契約をまとめてボリュームディスカウントをかけるという新料金プランなのだが、これだと1ユーザーあたりの維持費が分かりにくくなるため、「スマホは維持費が高い」という割高感が依然として払拭できずにいる。
「スマホに乗り換えても、月々の利用料はあまり上がらない」というイメージ作りは、大手キャリアにとって喫緊の課題と言えるだろう。
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