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「厳罰化」で解決できるのか 企業の秘密漏えい問題:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
「経済産業省が不正競争防止法を見直す」などと、日経新聞が報じた。企業の営業秘密を外国企業に漏らした者に対して罰則を強化するというものだが、厳罰化によって問題は解決するのだろうか。
公権力が技術流出に介入
実は今回の見直しのなかでもうひとつの大きなポイントは、このような日本企業の技術流出に対して「政府の関与を強める」ことにある。外国企業が生産した「パクリ品」の輸入を差止めることもできるようにする。これは、日本の技術流出がこれ以上野放しにならぬよう、いよいよ公権力がしっかりと介入をしていくということだ。
不正競争防止法の厳罰化というのは、特定秘密保護法同様、「日本の国益を守るため」という大義名分のもとで進められている。
ただ、国家権力を強めたら「スパイ」がきれいに消え失せたという話はあまり聞いたことがない。むしろ、こういう発想がエスカレートしていくと、「あいつが裏切り者に違いない」と互いに背中を指し合う監視社会になる。
「裏切り者」への罰を厳しくすることもたしかに必要だ。が、それよりも大切なのは、そもそも「裏切り者」が生まれないような仕組みをつくることなのかもしれない。
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