企業の関心は就職サイトからターゲティング採用に:学生に直接アタック
経団連による就活開始時期の繰り下げによって、企業、学生ともに方向転換を迫られている。そうした中、より良いマッチングを重視した取り組みが広がりつつある。
「学生の本分は勉強」だと言うものの、就職活動に力を入れないと卒業後が不安……。これまで多くの大学生がそんな気持ちを抱えてきたことだろう。そうした現状にメスを入れ、学業を優先させるべく、日本経済団体連合会(経団連)は、会社説明会の解禁時期を大学3年生の3月、面接などの選考開始を大学4年生の8月へと後ろ倒しした。
しかし、この経団連の指針によって、就活学生ならびに企業の8割以上が不安感を持っていることが、人材サービス会社のHRプロの調査結果から分かった。
先行して就活は開始
同調査は、企業307社の新卒採用担当者および2016年度卒業予定の大学生・大学院生839人を対象に、2014年11月14日〜27日の期間で実施した。
調査によると、就活学生の86%、企業の81%が就活開始時期の繰り下げに「不安」と回答した。理由について、企業側は、「採用時期の変更」が最も多く75%で、以下、「学生のエントリー数が少ない可能性」(53%)、「希望するような人材が応募しない可能性」47%となった。学生側も、「全体のスケジュールが変わったから」が65%と、時期変更に対する不安が最も大きかった。
その一方で、97%の学生が既に何らかの就職活動を始めていることも明らかになった。例えば、学生の71%が企業のインターンシップに参加しており、そのうち16%の学生が4社以上で参加したという。同社が2013年12月に実施した調査でインターンシップ参加率が45%だったことから、インターンシップへの参加を重視する傾向が強まっている。
学内セミナーやインターンなどの需要が増す
就活解禁の繰り下げを受けて、企業は前年と採用方針を変えるのか。「変える予定」と回答した企業が42%と、「変えない予定」(35%)、「未定」(23%)と比べて多かった。
採用手段については、46%の企業が「就職ナビサイトのみでは不安」と回答。理由として「掲載企業が多く、自社が認知されにくいから」(75%)、「求める人材からのエントリーが少ない」(46%)などを挙げている。
そこで2016年度の採用方針としては、「学内セミナーの活用」(53%)や、「インターンシップの活用」(39%)など、学生に直接アプローチできる施策に力を入れる傾向だ。あるいは、自社がターゲットとする学生に直接アプローチする求人チャネルへのニーズが高まっているという。
かたや、学生側においても、企業が応募者のレジュメを基に個人をスカウトする「逆求人型サイト」の利用が増えている。調査では48%の学生が登録済み、あるいは登録予定と回答しており、「知らない」と回答した学生の76%が利用意欲を示している。
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